中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4349回
中国の次の最大の課題は人手不足対策

日本では企業がドンドン海外に引越しするようになったので、
働くところが少くなって失業者がふえる方向にあります。
そのうちに人手が余って、
国のお世話になる人がふえる心配があります。

それに比べると、中国は工業化のスケールが一段と大きくなって、
この1、2年人手不足が目立つようになりました。
逆に働く方が仕事を選ぶ時代になって、
沿海地帯に出稼ぎに行っていた人たちが
旧正月の休みに故郷に帰ると、
そのまま仕事場に戻って来なくなり、
雇主の方が頭を抱えることが珍しくなくなりました。
年末に支払うボーナスも半分だけ払って、
あとは帰って来てからという会社さえふえています。

日本人の場合は組合で徒党を組んで
ストで賃上げの要求をしてきましたが、
中国では組合に対する政府の取り締まりもあって
ストに訴えるより簡単に会社をやめます。
会社を辞めてほかの会社に就職すれば、
どこの会社も人手不足で悩んでいますから、
すぐにもっと高い給料を支払ってくれます。
旧暦の年末は賃上げと転職の一大シーズンなのです。

この傾向は2、3年前からだんだん顕著になって、
政府も看過できず、最低賃金の値上げで対応してきました。
でもそんなことくらいではおさまらず、
現にヨーロッパやアメリカの金融不安で
世界的な不景気が表面化しているにも拘らず、
年に20%くらいの賃上げが恐らく、
向う10年くらいは続くのではないかと私は見ています。

そうなると、働く本人たちはいいでしょうが、
雇う会社の方が大へんです。
とりわけ人手を必要とする労働集約的な業種は
作業がストップして製品ができなくなってしまいます。
そのために靴をつくったり、繊維の加工をしたりする業種は
一足早く採算割れになって会社が倒産したり、
トップが夜逃げをしたりしています。
この対策をどうするかが
この次の中国の産業界の最大の課題になっているところです。


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2012年2月5日(日)

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