中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4354回
価格差があればまだまだチャンスが

縫製加工業のコストが日本に比べて中国は半分ですむとわかったら、
日本の同業者が指を咥えて見ているわけがありません。
地方に工場を抱えた東京や大阪のファッション・メーカーは
たちまちメイド・イン・チャイナに切り変えるようになったし、
賃銀差が勝負だとわかった日本の縫製業者の中には、
中国から研修生を大量に派遣してもらって
日本で縫製加工をはじめるハシっこい業者も現われました。

同じジーパンでも「メイド・イン・ジャパン」の方が
「メイド・イン・チャイナ」より高い値札がつくので、
なかには両方に工場を持ってどれが
どちらの製品かわからないような経営をしている業者もあります。

また同じ商品を日本でも中国でも
生産するようになったメーカーは、
同じ商品が中国でコピーされることを怖れて
中国では一切販売しないケースも少くはありません。
そのおかげで、日本メーカーの商品は
中国市場では高級品にランクされ、
それが中国におけるユニクロ製品を人気づかせる
一因にもなっています。
もちろん、そこに至るまでにはかなりの苦労がありましたが、
ユニクロが今日、中国の各地でひらいている大型店は
大へんな人気を呼んでいるばかりでなく、
日本で販売しているより高い値段がついています。

そうした衣料品に比べると、豚肉や野菜の値段は
更に一段とひらきがあるので、
日本の同業者が見のがすわけがありません。
豚肉の場合は衛生上の監視がきびしく
輸出入にあれこれと禁止令もありますが、
野菜の価格差は10倍にも及んでいるので、
あれよあれよと言っているうちに中国でつくって
日本のスーパーや小売店で売る商売もはじまりました。

しかし、農薬とか、その他の衛生的理由でストップをかけられ、
販売禁止になったり、輸入禁止になって、
貿易業者がお金が儲かるどころか、
大損をさせられたことは同業者なら誰でも知っていることです。
おかげで肉や野菜を売って産をなした話はまだ目立ちませんが、
それで終わりというわけではもとよりありません。
価格差がある限りチャンスはまだいくらでも残っているのです。


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2012年2月10日(金)

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