中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4355回
農業にもオートメ化の先覚者が

オートメ化は中国のこれからの最大のテーマの1つですが、
オートメ化は工業部門だけに要求されているものではありません。
農業部門でも人手不足になることは目に見えていますから、
新しい商売のやり方が次々と姿を現わすと考えていいでしょう。

その一環としてなるべく人を使わないとか、
また生産性をあげるために、
農業の工業化が大へんな勢いですすんでいるし、
遺伝子工学や水耕栽培や無害肥料の研究も進んでいます。
とりわけ人口が農業から工業に大量に移り、
一度工業に移った人が再び農業に戻ることは
ほとんど期待できないので、
農業が人手不足におちいることは目に見えています。
そこへ食糧不足が深刻になると、
人を使わないでどうやって増産するかは、
水の不足にどうやって対応するかに負けないくらい
重要な課題になります。

最近、私は日本でそういう問題に挑戦している
農業の経営者たちから次々と話をきく機会がありましたが、
なかで最も興味をひかれたのは2000頭の養豚をするのに
たった3人ですんでいる養豚者が日本にいることでした。
養豚と言えば、飼料をあたえるのにも大へんな手間がかかるし、
汚物の処理も大へんで、
その上、口蹄疫で全滅する心配のある難しい商売です。
現に台湾で私は日本の食肉加工会社の会長をつとめたことがあり、
日本まで送った豚肉を全量焼かれた上に、
向う5年輸入を禁止されて、
500人分の退職金を支払わされた上に、
会社を閉鎖された苦い経験があります。

そうした難しいビジネスをたった3人の女性でこなし、
しかもちゃんと土曜も日曜もあるシステムを
開発したというのですから、
話をきいている私の方がとてもびっくりしてしまいました。
早速ご本人にお目にかかってあれこれ説明をしていただきましたが、
何とその社長さんは20年も前から私の講演をきき、
私の著書も50冊も持っているときいて、
もう一度びっくりさせられました。
高度成長が終ったら、
それで日本の経済の成長が終ったわけではないのです。


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2012年2月11日(土)

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