中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4357回
中国の奥地で畜産事業はいかが?

中国は範囲が大きいだけでなく、民族も多岐にわたっているので、
食べられる肉は何でも口に入れてきました。
なかでも豚肉が主流を占めてきたことに
異論を唱える人はいないでしょう。
ですからやるなら養豚が中心ということになりますが、
関連の報告書を見ると、国民所得が上昇する段階に入ると、
世界中どこの国でも例外なく牛肉の消費量が
急速にふえると書かれています。

中国もその例外ではないと思ったので、
私は全国あちこちで畜産事業をやっているところを
片っ端から見学してまわったことがあります。
豚を食べない回教徒の地域はもとよりのこと、
合肥とか、洛陽とか、成都とか、昆明とか、
牧畜とあまり関係のなさそうな所でも
牛肉に対する関心は想像以上に深く、
焼肉、しゃぶしゃぶの店が予想以上に客を集めているのに
びっくりしました。

また北京の東来順を見てもわかるように
羊肉に親しむ人は意外に多く、
内モンゴルからスタートした羊肉の鍋料理のチェーン店で
上場企業になった企業もあります。
日本と違って食肉の歴史が長く、
貧しかったために消費が抑えられていただけで、
経済が発展して払うお金がふえれば、
牛肉、豚肉、羊肉から鶏卵に至るまで
肉類に対する需要はふえる一方だということに
異論を唱える人は先ずいないでしょう。

そのなかでも私の関心をひいたのは
大連からちょっと北に行った所で、
日本式の肉牛を1万頭も飼っている畜産会社でした。
もともとは東北三省の藁を集めて日本へ輸出していたのが、
必らずのように返品をくらって処置に困ったので、
一転して日本の企業の指導を受けて日本式の黒牛の飼育をはじめ、
とうとう日本とあまり変わらないレベルの
牛肉のサプライヤーになったのです。

しかし、牧畜は何も今はじまった新事業ではありません。
内モンゴルから寧夏、新疆まで行くと、
中近東に負けないレベルにあり、こういうところにも
思いもかけないニュー・ビジネスがころがっているのです。
明治になるまで牛肉を食べなかった日本人に
牛肉の改良をするチャンスがころがっているのですから。


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2012年2月13日(月)

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