中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4358回
中国で牛を飼って中近東に輸出するビジネスは?

私が寧夏回教自治区から
雲南省の奥地まで牧畜の勉強に行った時は、
肉のハナマサの小野社長と一緒でした。
何しろ小野さんは私が中国の経済発展に目をつけるより
一足早く中国進出をして、北京や上海はもとよりのこと
洛陽やモンゴルのウランバートルにまで
焼肉屋を開業した人ですから、
ご自分の専門分野については生字引のような人です。

寧夏の銀川市に行った時も、肉屋や焼肉店に入りびたりで、
1軒の店でどれくらい牛肉や羊肉を仕入れ、
プロでなくて普通の人が1回にどのくらい買物をしたり、
いくらお金を払うかまでしつこく調査しています。
肉の消費量は日本人の常識を遥かにこえているし、
レストランの焼肉料理の値段がそんなに安くないのに
結構お客がたくさん入っているのを見て、
「日本で肉屋をやるよりここでやる方がチャンスがありますよ」
としきりに私にすすめました。

とりわけ面白かったのは、これだけ牛を飼っているのに、
同じ回教を信奉する中近東に全く牛肉を売っていないことです。
回教の国々では回教できまっている屠殺法で
屠殺した牛肉でないと輸入できません。
今のところまだ正式なそうした屠殺法が採用されていませんが、
グローバル化の時代ですから、
もしここの牛肉を正式に輸出することができれば、
石油ブームに湧く5億人の市場を開拓することができるのです。

「ですから、ここに肉と生鮮野菜を売る
新型のスーパーをつくって、畜産にも力を入れて下さい。
中近東に牛肉を輸出する仕事は私がやりますから」
としきりに私にすすめます。
現に私は銀川で日本に働きに行く見習生たちのために
システムまでつくっていますから
私にできる仕事の1つだと考えて下さったのでしょう。

でも私が見てまわった広い中国には
心の動くニュー・ビジネスが山ほどあって、
今のところ残念ながら、そこまで手が届きません。
但し、日本人がやる気を起したら、牧畜の仕事だって
神戸や松阪よりは内モンゴルや新疆自治区の方が
ずっと有利な条件を備えているのです。


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2012年2月14日(火)

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