中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4365回
為替相場にもっと関心を持ちましょう

これから日本の企業も日本のお金も
海外に出稼ぎに行くチャンスがふえます。
外国で投資をするとなると、
為替相場がどうなるかに注目しなければならなくなります。

日本人は今でこそ円高で頭を抱えていますが、
私が日本の株に注目した頃は1ドルが360円でした。
360円に換算すると日本の労賃はうんと安かったし、
勤勉で陰日向のない日本人に物をつくらせれば、
安くて人の喜ぶ商品ができました。
ですから投資をするなら
「通貨が弱くて労賃の安い国」と考え、
「日本が駄目なら韓国と台湾があるさ、
韓国と台湾が駄目なら、中国大陸があるさ」
と投資の対象を次々と変えてきたのです。

でもこれだけグローバル化がすすむと、
どこで物をつくって、どこに売るかによって、
商売の仕方も変わってくるし、
また為替相場がどう変わるかによって
商売のやり方も変えなければならなくなります。
ですから為替がどう変わるかに敏感でなければ
時代について行けなくなってしまいます。

私は台湾と日本で育ったので、比較的安定した通貨に慣れ、
ドルと人民元との対比にしか神経を使いませんが、
うちの家内は香港育ちですから世界中のお金の動きに敏感で、
今でもオーストラリアやカナダの通貨は
どうなっているかを話題にします。
私には黙っていますが、
オーストラリアのドルがうんと値上がりしてから
「おかげで儲かったわ」と笑顔を見せています。
そういうところが日本人と香港人と
大きく違うところなんでしょうね。

でも事業もお金も外国へ出て稼ぐチャンスがふえると、
為替相場にもっと関心を持つ必要があるようになります。
何しろ今のところは政治家や役人から銀行員に至るまで
円高には無関心ですから、
事業家たちの悲鳴をきいても自分たちの事だとは思っていません。
でもいよいよ財産の一部を
海外に避難させる必要に迫られると事情は一変します。
そういう皆さんは円相場がどうなるか
真剣になって考えたことがありますか。


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2012年2月21日(火)

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