中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4380回
東南アジアは広いけれども

私はせっかちな性ですから、30年も前に
そのうちに日本の企業が賃金の安い国をめざして
移動する時が来るだろうと考えて、
東南アジアの国々を一通り見てまわったことがあります。
中国の開放政策がまだスタートする前のことで、
共産主義の国では進出は無理だろうと思っていたからです。

フィリピンからはじまって、インドネシア、ベトナム、
タイ、ビルマ、コロンボ、さてはオーストラリアに至るまで
一通り足を伸ばしました。
のちにはモンゴルやバングラディシュにも出かけました。

どこに行っても、
「もし女房と二人っきりでころがり込んだら、
この国で生きていけるだろうか」
といつも腕組みをして考えました。
「オーストラリアなら住んでいる人がいいから、
うまく瞞して何とか生きていけるだろう。
でもインドじゃこちらが瞞されてしまうぞ」
とおじけづいたことがあります。

そういう目で見ると、国によって頭を使う国民と
手足しか使わない国民があることに気づきます。
たとえば、モンゴルは資源はあるけれど、人口は少いし、
そこに住んでいる人は力は使うが、さして頭を使わないので、
相撲取りにはなれても金持ちにはなれません。
従って資源の開発をやっても、開発に来た異国の人に
ごっそり持って行かれるのではないかと思いました。

またバングラディシュは北海道より少し大きなところに
1億5000万人もの人が住んでいて、
頭を使うより手足を使う仕事にしか興味を持たないので、
人口1000万の首都ダッカで、
縫製加工で暮らしを立てている人が何と300万人にも及び、
それでいて男たちは町中をバスやトラックを運転して
50キロのスピードで猛走するので、事故だらけ。

ですから、ユニクロの工場はできても、
コンピュータやテレビの工場は先ず無理だということになります。
タイも可能性の多い移転先の1つですが、
洪水に見舞われて見ると、
次はベトナムということになるのではないでしょうか。
海外移転を考えている社長さんは
とりあえずベトナムに行ってみてはいかが。


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2012年3月7日(水)

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