中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4420回
百姓やるなら隣りと同じ物を植えるな

中国の農業はもともと一家で一畝(200坪)とか、
二畝の小規模農業で、
大半の農民は生活をするのがやっとという時代が続いてきました。
そこへ開放政策による工業化の波が押し寄せ、
沿海地帯の工場地帯に出稼ぎに行く
チャンスがあるようになったので、
日本と同じような三ちゃん農業が珍しくなくなりました。

工業化がすすむと、
食糧の不足が目立つようになるので、
中国でも日本や韓国や台湾のように
食糧を輸入に仰ぐ必要に迫られるようになります。
工業製品の輸出がふえて外貨を稼ぐようになれば、
食糧に支払うお金にも困りませんが、
日本の7000万人分の食料と違って
七億人分の食料を供給してくれるところは
世界中どこにもありませんから、
中国は自給自足で間に合わせるよりほかありません。

となると、箱庭のような農業ではとても間に合いませんから、
次は効率のよい大規模農業の時代になることは目に見えています。
それも人を使わない機械化、オートメ化が主流になりますから、
同じ面積の土地でも何を植えるかによって
売上げに天と地ほどの差が生じ、
農業のやり方に合理性が要求されるようになります。

たとえば、同じ面積でも米や麦を植えるよりは、
いちごや薬草を植えた方が
10倍も売り上げが違うということが現実に起ります。
また同じ作物を植えても、
日本と中国の技術では
収穫が倍から3倍も違うということも起ります。
同じだけの労力と時間をかけ、同じだけの面積で仕事をやっても
やる仕事によって収穫に天と地ほどの差がでてしまうのです。
他の事業を色々とやって来た私たちから見ると、
農業には色々と工夫の余地があることに
改めて気づいているところです。
もしかしたら、漢方薬を植えた方がいちごを植えるより
更に大きな収入をもたらしてくれるのではないかと考えるのは、
工業的もしくは商業的発想で
農業を見ているからではないでしょうか。





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2012年4月16日(月)

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