中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4422回
薬材なら人が手を出さない薬材を

中国では薬材に対する投機が盛んで、
薬材が2、3年のうちに3倍にも5倍にも値上がりすることが
現実に起っているときいたことがあります。
ですから漢方薬の栽培だって安全なビジネスではないですよ
と言われました。

お金が儲かることなら、
中国人は生命を賭けることもいとわないところがありますが、
その反面、辛抱が足りないというもう1つの欠点があります。
現に1年たっても儲けのないビジネスだときくと、
10人中9人の人が手を出さなくなってしまうのです。

たとえば鶏を飼う人はたくさんいます。
すぐ卵を生んでくれるし、
成鶏になってお金になって戻ってきます。
豚は六ヶ月で成豚になります。
ですから豚を飼う人はいますが、
肉牛を飼う人は滅多にいません。
乳牛ならミルクが売れますが、
肉牛は肉が売れるまでに2年もかかってしまうので、
大半の人が皆、たじろいでしまうのです。
神戸牛や松坂牛が中国で育たないのを見てもおわかりの通りです。

漢方の薬材についても同じことが言えるようです。
漢方の薬材には1年で収穫の終わる薬材もありますが、
3年も5年もかかるものもあります。
中国人は1年で勝負のできる薬材の投機には猛然と勝負に出ますが、
2年も3年も、ましてや5年もかかって
やっと収穫のできる薬材に対しては
最初からそっぽを向いてしまうのです。

ですから中国で漢方薬の栽培に手を出すなら、
1年で勝負のできる薬材の苗をつくれば、
買ってくれる人はいますが、
3年も5年もかかる薬材の苗を買ってくれる人はおりません。
ですから商売としては1年物の薬材の苗づくりに力を入れ、
金儲けのためなら何年もかかってお金になる薬材を
自分で手がければよいということになります。
誰もやりたがらない仕事は投機する人が少いので、
気がついたら何倍にも値上がりしているということが
現実に起り得るのです。
「これも人のやらない事をやるのが農業だ」
という好例の1つと言ってよいのではないでしょうか。





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2012年4月18日(水)

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