| 第30回やっぱり『象さん』を登録したい!
 著作権は、登録をしなくても著作物の創作と同時に自動的に発生します。
 これまでご説明した特許等の産業財産権法と大きく異なる点です。
 しかし、これに異議を唱える方がおられるかもしれません。
 例えば、
 「文化庁で著作権の登録ができる(したことがある)が、
 あれは一体何なんだ?」
 と。
 確かに、文化庁に著作権の登録をすることができますし、(財)ソフトウェア情報センターに対して
 ソフトウェアプログラムの登録をされた方も
 いらっしゃるかと思います
 (私自身、技術者時代に
 著作物としてのプログラムの登録申請をしたことがあります)。
 しかし、これらの登録は、権利を発生させるためではなく、創作によって既に発生している著作権の事実確認又は管理のため、
 といった性格のものです。
 著作権にもその発生時期や公表時期について、
 あるいは創作者が誰であるかについて、
 争いが生じる場合があります。
 また、著作権も私権であることから、
 譲渡や質権の設定等の管理・処分が行われます。
 その場合に第三者対抗要件としての登録が必要になってくると
 考えることができるわけです。
 例えば、不動産の二重譲渡が行われた場合には、
 先に登記した者が
 第三者に対抗できるという話が民法に出てきますが、
 私権である著作権にも、
 これと同じ理屈が当てはまるということになります。
 これら著作権の登録を受けるためには、規則で定められた登録の申請及び著作物の明細書その他
 必要な資料を添えて、文化庁長官官房著作権課に申請します。
 ソフトウェアプログラムの著作物の登録については、
 冒頭でも申しました
 財団法人ソフトウェア情報センターに申請します。
 文化庁に問い合わせをされると
 「登録のための手引」に相当する冊子が入手できると思いますので、
 いざというときに参考にされるとよいでしょう。
 ちょっと話が戻りますが、小さなお子さんが創作された象さん(第28回ご参照)の例ですと、
 公表した場合の公表年月日の登録を行うことができます。
 そして、いったん登録されれば、
 原則として(反証されない限り)その登録内容(公表年月日)が
 事実として推定されます。
 登録料(印紙代)も公表年月日登録の場合で
 1件3千円と高価なものではありませんので、
 ご自分で登録手続きを勉強なさって
 お子様のために記念登録というのも面白いかもしれませんね。
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