| 第61回ゴキブリホイホイで一財産!
 はじめにお断りしておかねばなりません。『ゴキブリホイホイ』は、アース製薬株式会社の登録商標です。
 第11回でも申しましたが、
 一般名称のつもりで使用することがないよう
 注意しなければなりません。
 『ゴキブリホイホイ』の一般名称は、ゴキブリ捕獲機です。
 さて、ゴキブリ捕獲機として、あまりにも有名な『ゴキブリホイホイ』ですが、
 アース製薬より昭和40年代後半に販売開始されました。
 最初の1年で何十億円も売り上げる大ヒット商品になったそうです。
 当時(あるいは今でも)、
 ゴキブリを見かけたら殺虫剤と新聞紙で退治していたわけですから、
 台所などにセットしておくだけで
 何匹もおびき寄せることができて始末も楽ということで、
 斬新な商品だったと思います。
 加えて、あのちょっとユーモラスなハウス形状の本体と、
 お茶目な感じの商品名も
 消費者のハートを捕らえたに違いありません。
 このゴキブリホイホイ、実は、アース製薬が開発するよりも前に、個人の方によって特許で押さえられていたという話があります。
 この個人の方(男性)は、
 ずっとメーカーに勤務され、
 職務発明もたくさんされて社内でも表彰されるほどだったそうです。
 それで、このゴキブリ捕獲機については、
 在職中又は退職後に考案されて、
 これまでの出願経験を活かして個人で出願されたようなのです。
 そうして、アース製薬の商品化に際して、
 この個人発明者には応分のロイヤリティが支払われたようです。
 初年度で何十億円も売り上げるくらいですから、そのロイヤリティ収入も
 相当なものだったのではないかと想像できます。
 料率を相場の3%としても億単位になりますね
 (しかも、昭和40年代の億です)。
 この商品がヒットした理由には、すでに述べたとおり、いくつかの要素があります。
 特に、ネーミングの力も大きかったのではないかと思うのですが、
 肝心の中身についても個人で試作可能なレベルですね。
 いったん入ったら抜け出せないような返しを
 本体の入り口に取り付けるとか、
 粘着剤の粘性の研究とか、
 ゴキブリが寄ってくるフェロモンの研究などを繰り返して
 発明の完成度を高めていったのではないかと推察します。
 主婦の発明と同様に、この発明にも家庭の風景が目に浮かびます。奥さんに焚き付けられたか、あるいは家族のことを思いながら、
 この発明者の男性も試行錯誤を楽しまれたのではないでしょうか。
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