| 第62回発明で一発当てますか?
 年頭から少々景気のよいお話を続けましたが、発明で一発当てることは果たして可能なのでしょうか?
 いや、可能であることに間違いないのですが、
 果たしてどの程度の労力で達成可能かが
 気になるところかと思います。
 まず、出鼻をくじいてしまって申し訳ないですが、確率として1分の1というのはちょっと難しいです。
 いくら素晴らしい着想に恵まれたとしても、
 何の修正(改良)も加えないで
 そのまま通用するというのは大変なことです。
 逆に言えば、世に知られるシンプルかつ優良とされる発明でも、
 最初に着想されたものに何ら手を加えることなく
 出願できたというのは少数派です。
 発明として完成するまでに、
 試行錯誤の過程があるものと思っていただいて間違いないです。
 だからこそ、日常生活に関わる発明は、
 無理なく継続して取り組みやすいと言えます。
 次に、優れた発明が出来たと思った場合でも、既に他人によって似たような着想が出されている場合も多いので、
 事前の調査が必要です。
 むしろ、試作に取り掛かられる前に特許庁のデータベースなどで
 先行出願の調査をされることが望ましいです。
 これはないだろうと思っても意外と出願されていますので、
 ご自分のアイデアの力試し、
 アイデアレベルの相場観を養うためにも
 調査されてみるとよいでしょう
 (簡単な調査方法は、また別の機会に)。
 いよいよ自分の発明には独創性があるかなと自信を深められたら、思い切って特許出願してみましょう。
 第16回でも申しましたが、
 現段階では実用新案登録出願されるより
 特許出願される方が無難です。
 書き方はどうするの?
 という疑問からスタートされる方は、
 特許庁のホームページを覗かれることから始められることを
 お奨めいたします。
 特許出願をされたら、発明の完成までと同等か、それ以上に重要なのが「いかに売り込むか」です。
 売り込みといっても、
 例えば、音楽に熱中した若者が
 自分の歌を吹き込んでレコード会社に売り込むとか、
 文学青年が出版社に売り込むといった行為と大差ありません。
 実際に行動に起こして見られるとわかることですが、
 企業の対応は予想以上に丁寧だったりします
 (私自身、企業の知財部門にいて
 個人発明家による売り込みの対応を見てきていますので)。
 もしご希望が多いようでしたら、お金をかけないでうまく調査する方法とか、
 アイデアのまとめ方とか、
 このコラムで取り扱ってもよいと思っています。
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