第68回
規格戦争勝敗の決め手は・・・
今回のテーマは、パテントプールのお話(第66回ご参照)から
少しずつ話を掘り下げて、
規格特許のお話や規格の優劣の競い合い、
はたまた同じ陣営内での駆け引きにも少し触れました。
目下よく話題になる規格戦争の1つには、
やはり次世代DVD規格(HD−DVDとBlu−ray)の
競争があります。
改めて両陣営の顔ぶれを見ますと、
Blu−ray陣営が、
松下電器、ソニー、日立、三菱電機、アップル、
20世紀フォックス、ユニバーサルに対して、
HD−DVD陣営が、
東芝、NEC、マイクロソフト、インテル、
IBM、タイムワーナーと、
絶妙に拮抗した力関係となっています。
もうしばらくは予断を許さない状況です。
昔のビデオテープの争いでは、
終盤にベータ方式のソニーが孤軍奮闘になってしまって
結局VHSが業界を支配していきましたが、
あの経緯を振り返りますと、ハード及びソフトの両面から
それぞれ面白い点がいくつか見え隠れします。
まずハード(性能)面では、
確かVHSよりテープが小型にも関わらず
ベータ方式のほうが優れていたように記憶しています。
しかし、そのテープを再生するデッキの構造が
どうしても複雑になるという難点を抱えていました。
デッキの構造といえば、当時のソニーの盛田さんが、
性能面で優位に立つベータ方式を自ら売り込むために、
わざわざ品川から門真の松下幸之助さんのところへ
乗り込んで行った時の逸話が残っています。
とうとうと自己の主張を展開する年若い盛田さんに対し、
松下さんは盛田さんの目の前で双方のビデオデッキを並べて
内部を開けて見せ、
「ほれ、どちらが作りやすいでっか。一目りょう然でっしゃろ。
経営者としてどちらを選択するかは簡単な理屈ですわな」
と言って、盛田さんを黙らせてしまったそうです。
加えて、ソフト面でもVHS陣営の戦略の方がベータ陣営に勝り、
ベータ陣営が徐々に苦境に立たされていったように記憶しています。
さて、現代の規格戦争、次世代DVD規格の行方は、
性能面(画質と録画時間)ももちろん大切ですが、
ソフトの充実に加えてもう一つ、
記録メディア(媒体)の単価も
重要な要素ではないかなと思っていますがいかがでしょうか?
ガソリンの値上げで頭を悩ませておられる方も多いと思いますが、
記録メディアのほうも安い方がありがたいですものね(笑)。
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