知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第107回
世界の特許法一巡り

新年度又は新学期ということもあり、
ゴルフの話を数回にわたりさせていただきました。
そろそろお勉強のほうにも力を入れたいと思います。
立て続けにやってしまうと飽きてしまうと思いますので、
今回は第一弾として
「世界の特許法」について大枠をざっと見たあと、
日本に近いという意味で
台湾と韓国の事情についても少し見てみたいと思います。

世界の特許法といっても文学全集みたいに
第一巻からしまいまで通読するというシロモノではありません。
特許法の本質をふまえて現代の潮流に沿った大局を押さえれば
一応は十分と言えます。
まず、現代の潮流といえば、
新聞にも頻繁に登場するキーワードである「三極」という枢軸です。
これは日米欧の三極を指しますが、
いま世界でもっとも特許出願件数の多い国と地域です。
もちろん中国における出願件数も
近年ものすごい勢いで伸びてきており、
三極を順に抜き去ってしまうことも十分想定されます。

それから特許法の本質という面からは、
以前にお話しましたように
潮の流れがあるということを忘れてはなりません(第37回ご参照)。
この本質を踏まえると、
中国の知財力がやがて世界で抜きんでることになれば、
三極はそろってアンチプロパテント政策へ向かうということも
考えられなくはないです。

また、私たちの身近なところから考えてみると、
日本の法律はご存知の通りドイツとフランスの血を引いています。
なかでも特許法は
明治期にドイツの仕組みを取り入れたものとなっています。
その一方でアメリカは英国とならんで
コモン・ローのバックグラウンドを背負っています。
もともと根本的な思想を異としますので、
知的財産に関わる
両国にまたがった事件を個別具体的に処理する場合には
見解の相違がところどころに発生します。

さらに、アジアの雄としての日本の発展を手本にして、
台湾や韓国では
日本の特許法を参考にしていったという経緯があります。
台湾と韓国とを一緒にしてしまうのは乱暴かもしれません。
どちらかというと台湾は
日本法に忠実に倣ってきたというところがあり、
韓国は日本法に倣うと同時に
新しい試みや制度については
日本よりも積極的に取り入れる気質があるような気がします。


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2008年4月24日(木)

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