知的財産ってわかりますか・中村佳正

無から有を生みたい人、必見

第119回
世界の特許法(香港編)

実は、4月に入って
『世界の特許法シリーズ』(第107〜110回)というのを
やらせて頂いています。
まずは、アジアからということで、
この間は台湾と韓国についてご紹介しました。
今回は、香港、シンガポール、ベトナムです。

香港は、ご存知の通り
20世紀のほぼ終わりまで英国の統治下にありましたので、
英国の影響が強く残っています。
正確に申し上げられるかどうか不安ですが、
97年の返還後は、外交権と防衛権は中国に移管し、
立法権、行政権、司法権については、
中国から独立した自治権が
返還後50年間継続されるというものだったと思います。

ですから、特許法についても、
返還前まで英国の特許法に基づいた
香港地域での確認的な登録が行われておりましたが、
返還後は、中国とは別個の特許法が施行されることとなりました。
いずれにせよ、香港では特許の審査は行われません。

特許の種類は2種類あって、標準特許と短期特許と呼ばれます。
この短期特許というのは、日本でいう実用新案とも異なるようです。
標準特許の特許期間は、英国出願等の出願日から20年で、
短期特許の場合は香港での出願日から4年です
(さらに4年延長して最大8年まで可能)。
ひとつ注意しなければならないのは、
標準特許の出願の場合は、必ず英国、欧州、
又は中国での基礎出願がなされていなければならないことです。
香港での審査は行われませんから、
基礎出願の審査経過に追従することになります。
それでいて、行政権は中国と別体ですので、
香港で成立した特許権の効力が中国へ及ぶこともなければ、
その逆もないようです。

ちなみに、香港では、意匠登録出願及び商標登録出願も
香港特許庁に対して直接出願できます。
特許の場合には審査は行われないことを説明しましたが、
意匠出願は方式審査のみ、
商標出願は誤認混同を生じないかの判断を含む
実体審査も行われるようです。

また、香港は、中国とは別個に各種の知的財産権条約
(パリ条約、PCT、TRIPs協定)に加盟しています。


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2008年5月22日(木)

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