元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1176回
ホリスティックな作家とは−絶望を希望に変える?

まえに、11月23日(水・祝日)に開催される
帯津良一医師と僕の講演会――
「介護をもっと、ホリスティックに」
セミナーについてお知らせしましたが
医学だけでなく、教育学や心理学、
そして、いまや人生最大の話題である介護学にも
「命のつながり」を大切に考える
反アトム発想=ホリスティックな考え方が
見直されてきたように思います。

「介護をもっと、ホリスティックに」という
講演会の講師を、なぜ、僕が引きうけ、
日本のホリスティック医学の先駆けである
帯津良一博士にも出演をお願いしたかといいますと、
この講演会の主催者の一人である
山口泉さんが、ひたすら、
人間の命の尊さを大切に考え、
“絶望の中から希望を掴み取っていく”作品を、
じつに緻密な筆致で、
雄大に組み立てていく、
スピリチャルな作家だと思うからです。

人間の命に関わることまでも、
まるで、機械のように「アトミック」に分解し、
分析することだけが、
公論や正論であるとしがちな世の中では、
硬直型といいますか、偏向的といいますか、
軽佻浮薄なメディアやジャーナリズムが跋扈して、
小説や漫画にしても、
読み応えのある作品がとても少なくなりました。
そうした中で、山口泉さんは
「絶望の中から希望を探り出す」・・・
そうした世界の構図を描ける、
じつに数少ない“ホリスティック”な作家の一人だと、
僕は評価しているのです。

ちなみに、山口泉さんは、
太宰治賞優秀賞や
日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を
受賞している気鋭の作家ですが、
その作品については、
「オーロラ交響曲の冬」といった大人の童話や、
「宮沢賢治伝説−ガス室のなかの「希望」へ」
といった評伝を
このコラムでも紹介しました。
(注・第743回「希望は絶望の中にあり」

もちろん、小説の世界では、
エンターテイメントが要求されますから、
山口さんの小説や童話は、
重い感じがすると思う人もいるかもしれませんが、
読み進んでいくうちに、
不思議と、山口流の
「絶望を希望に変えるスピリチャル・ワールド」に、
引き込まれていくものなのです。
ぜひ、時間のあるときに
読んでみてください。

さて、その山口さんから、
11月の講演会の依頼と前後して、
長谷川沼田居(はせがわしょうでんきょ)という、
異才の画家の生誕100年記念図録に
掲載された評伝というか、
エッセイが送られてきました。

僕は、長谷川沼田居という画家を
まったく存じ上げなかったのですが、
生涯に3000点を残したというだけでなく、
60歳を過ぎて両眼失明という逆境を乗り越え、
さらに10年間、“心眼”で絵を描き続けた巨人だと、
例によって、山口さんが力強い筆致で
ぐいぐいと書き進めているではないですか?


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2005年11月15日(火)

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