「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第4回
カリスマシェフよ 何処へ行く? (その2)

丸ビルの5階に入居した「エッセンツァ」。
2号店の「カッフェ・アロマティカ」でハズしたので
当然のことながら、期待はしぼんでいるし、
モチベーションも下がったままだ。
それでもちょうどこの時期、
ガイドブック「丸ビルを食べる」の出版計画があり、
「行かねばならぬ!」の個人的理由があった。
ピアット・ウニコ(パスタと一品料理の一皿盛り)を
数回試してみたものの、やはり本家には遠く及ばない。

そうこうするうち、どういうもくろみか
「アロマフレスカ」が閉店した代わりに
「アロマクラシコ」が品川駅前に開店する。
H田シェフ自身が乗り込んでおり、
さすがにこの店は期待に応えてくれた。
肉の旨みをそのままシンプルに引き出して
熊本産霜降り桜肉のカルパッチョ、
鹿児島産仔豚のロースト、いずれも花マル。

多店舗展開もこのへんで打ち止めと思いきや
今度は南麻布の人気(ひとけ)のない一角に
野菜の魅力を強調する「カーザ・ヴィニタリア」と
「アロマフレスカ」の2店をワンフロアに同時オープン。
肉の次は野菜ときたか!
しかも名店「アロマフレスカ」の復活だ。

取るものも取り合えず「ヴィニタリア」の予約を入れる。
稚鮎と山菜のフリット、子持ちやりいかのソテー、
たらば蟹とポロねぎのタリオリーニ、
仔羊のロースト、馬肉フィレのグリルをいただいた。
そこそこに美味しいけれど、いまひとつピンとこない。
看板通り、どの皿にも野菜がふんだんに使われているし、
付け合せの野菜のチョイスもできるが、
にんじん・じゃが芋・根セロリなど重い根菜ばかり。
ほうれん草のソテーや芽キャベツのバター煮のような
緑黄系の葉野菜がほしくなってしまう。

H田氏の軌跡をたどってきて、今感じること。
以前より創造的な感性が希薄になった気がする。
意図的に自らの自由度を制限して、
スタイルの確立よりも
フォーミュラへのはめ込みを意識しているようだ。
菜食に代表されるヘルシー志向の風潮に
歩調を合わせすぎているようにも見える。
野菜の美味しさは認識しているつもりだが、
野菜たちが輝きを放つのは脇役に徹してこそだろう。
大皿の中央で野菜が主役を張る料理には
違和感がつきまとって、どうにもなじめない。


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