「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第12回
ムリではなかった14皿だが  (その1)

ナポリから運ばせた特注のピッツァ窯が
トレードマークとなったイゾラ・チェーンは
その窯の色に合わせて店名を決めている。
白金本店はバラ色なので「イゾラ・ローザ」、
丸ビル店はエメラルド色だから
「イゾラ・スメラルダ」、銀座店は青色で
「イゾラ・ブル」といった具合だ。

ピッツェリァのイゾラを配下に収めるグラナダが
白金にフレンチの「カンテサンス」を開店させた。
ホームページのK田シェフによると
「カンテサンス」とは物理用語で
進化する世界の源として想定されている
エネルギーのことだそうだ。

パリではミシュランの二ツ星「アストランス」の
スーシェフを務めていたK田シェフ。
学生服を着てもおかしくないほどに若い彼が
作る料理は1種類のコースのみ。
俗に言うムニュ・デギュスタシオンは全14皿だ。
最後までたどりつけるかな?ちょっと心配。

ラルーのシャサーニュ・モンラッシュ‘01年で乾杯。
キレ味鋭い白ワインは実に力強い。
余韻を舌に残したまま爽やかな香気が鼻腔を抜けてゆく。
「あとはパンとチーズと白アスパラでもあれば
ほかには何もいらないぜ!」――とまで思わせる。
初っ端のアミューズは
日本の原木椎茸とフランスのセップ茸のビスケット。
続いてサリエットの花を浮かべた蓮根と大根のスープ、
小指の先ほどのかぶとその葉のサラダ仕立て、
ズッキーニをまとったあおりいかと青梅のタルタルが
それほど間を置かずにサーブされた。

ここで1本目の赤ワインは
ラモネのシャサーニュ・モンラッシュ‘03年。
白赤を同じ産地で統一してみたが、
赤も若いなりにスクッと立ち上がって好印象。
心配なのは4皿終えた料理のほうで、
いまだにノーヒット・ノーランが続いている。

フロアを仕切るメートルに訊ねると
お次は、塩とオリーブ油が主役の山羊乳のヴァヴァロワ。
ふ〜ん、これはおそらく
シェヴレ(山羊乳のチーズ)を使ってくるのだろうな、
そろそろ当たりが出る頃か。
おぼろ豆腐のように純白のヴァヴァロワが現れた。
はたして、主役はあくまでも山羊乳のヴァヴァロワで、
塩とオリーブ油は脇を固めているにすぎないが、
重要な役割を担っていることは事実。
準主役を張る百合根の歯ざわりも快適で、
組み合わせの妙を発揮させ、この皿はクリーンヒット。

=つづく=


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