「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第15回
まぐろを美味しく食べるコツ

まぐろの値段が上がっている。
春先に比べて3割近くも上昇しているそうだ。
高級な本まぐろはもとより、大衆的なばちまぐろや
きはだまぐろも例外ではない。
何やらBSEや鳥インフルエンザの影響で
欧米の消費者が牛肉や鳥肉から
シーフードにシフトしたのが原因だという。

まぐろはもともと欧米ではそれほど好まれない。
北米や南欧ではグリルやソテーで食べるものの
火を通すとパサつくまぐろよりも
シットリとジューシーなかじきまぐろに人気がある。
ニューヨークでは、ツナフィッシュよりスォードフィッシュ、
シチリアでは、トンノよりもスパーダということだ。

その点生食中心の日本はかじきよりも圧倒的にまぐろ。
やはりまぐろは刺身や鮨に限るのだろう。
最近は江戸前鮨の老舗に限らず、若くして独立した鮨職人も
昔のシゴトを踏襲して、赤身のづけを仕込むようになった。
中にはやたらにしょっぱいのを出してくるところもあるが、
おおむね真っ当といえるだろう。
浸透圧で余分な水分を抜き、旨みを凝縮させるづけは
鮨ダネとして酢めし・わさびとの相性も抜群、
にぎりはもちろん、鉄火巻きも捨て難い。
赤身に限らず、中とろ・大とろのづけもまたけっこうだ。

銀座や浅草ならば、名の通った鮨屋はみなづけを扱うが、
青山・六本木・西麻布あたりの新しい店は鮮度落ちを
疑われるのを嫌い、客の要望に応えてくれぬところも多い。
そんなときには自分で自家製づけを仕込むことにしている。
要領は簡単。醤油の小皿を1枚余計にもらい、
飲んでいる日本酒と生醤油を1:4程度の割合で合わせる。
そこにまぐろの刺身を2〜3枚漬け込むのだ。
途中裏返すのを忘れないよう気をつけながら
漬ける時間はお好み次第で3〜10分ほど。
生のままとは一味違うまぐろの魅力に出会えるハズだ。
日本酒を飲まない焼酎党なら、代わりに焼酎でも構わぬが、
やはり日本酒がベストだ。
家庭でも刺身を楽しむヴァリエーションとして活用したい。
まぐろ山かけやまぐろ納豆も、づけのほうが美味しいし、
安価なまぐろほど効力を発揮してくれるのがありがたい。

もう1つ、誰しも経験があると思うが、脂の乗った大とろ。
味は良くとも強烈なスジがいかんともし難いケース。
こんなときには刺身をあきらめ、まずはづけの作成。
最低2〜3時間は漬けたいところで1晩漬け込んでもいい。
これをガスレンジのオーヴンでサッと片面だけ焼いてやる。
するとアラ不思議、あれほどスジ張っていたのがトロトロに。
スジは多ければ多いほどいい。そのほうが安い。
半生の大とろづけ焼きで、炊き立てのごはんをやったら
ヤミつきになること請け合いだ。


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