「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第22回
鮨屋二軒 百万石の 城下町  (その2)

昨日紹介した「千取寿し」とは対照的に
「小松弥助」はアパホテルの1階というロケーション。
外見ではずいぶんとヒケを取る。
金沢を中心に展開して今や都内の
日本橋や西麻布にも進出しているホテルとはいえ
ビジネスホテルのフロント脇というのは、やはりねェ。
以前は小松空港の近くで営業していたが、
紆余曲折を経ての移転と相成った。

今回は去年の夏以来の再訪。
あっさり白状してしまうと北陸をめぐる旅の主眼はこの店。
それほどに、前回いただいた鮨に惚れ込んだ。
親方の人柄と客あしらいにもぞっこんだ。
笑顔で迎えられ、つけ台に落ち着き、
気を許して交わす会話の楽しさよ。
この空間に身を置くだけで感じるシアワセ。
人もお店も外見で判断しちゃイケませんや。

目の前で客と接する鮨職人には
厨房の奥の料理人とは違った資質が求められる。
なにも饒舌である必要はまったくないし、
寡黙であってもいっこうに構わない。
要は謙虚に客と向かい合い、誠実な気持ちで
丁寧なシゴトをしてくれれば、それだけでじゅうぶん。
ほかに何を求めることがあろう。

最初に、にぎりのお決まり1人前を
いただくのがこの店の作法。
そのあとで、好みのタネをアンコールするもよし、
お決まりでは登場しなかったタネをお願いするもよし。
まずはそのお決まりを紹介すると、
やりいか・あぶり中とろ・甘海老・平目昆布〆・
赤身づけ&蝦夷ばふん海胆とろろ掛け・煮はまぐり・
うなぎ胡瓜巻き。そして豆腐と生海苔の味噌椀
ベストスリーは、煮はま・甘海老・平目。
づけと海胆のとろろ掛けも他店にはない傑作で
ベストの三者に肉薄している。

間髪を置かずに注文した追加のにぎりが
蒸しあわび・小肌・穴子・赤身づけ・ばい貝の5カン。
この中では穴子が特筆だ。
赤いかには数週間早く、日本海の夏まぐろも
いまだ九州あたりを泳いでいる。
心残りはいくつかあれど、それも鮨屋の宿命というもの。

そうそう訪れる機会のない百万石の城下町。
ほかにも行きたい店は枚挙にいとまがない。
それには目をつむって金沢に来たら
何が何でも「小松弥助」。
東京を除けば、日本一のお鮨屋さんのお墨付き。


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