「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第25回
初モノ尽くしの軽井沢

長野県生まれのくせに、
避暑地・軽井沢には来たことがなかった。
興味がないというか、機会がなかったというか、
とにかくこのハイカラな町は未踏の地であった。
以前、ビッグコミックのスピリッツだったかしら
「軽井沢シンドローム」という劇画があったけれど、
画風が肌にシックリこず、
読み飛ばしていたのが災いしたのかもしれない。
気に入りだったら、すぐにでも訪れただろうに。

生まれて初めての軽井沢は結婚式に出席するため。
ブレストン・コートというホテルに赴いた。
新郎新婦は軽井沢にも長野県にも縁はない。
町の雰囲気が気に入って、ここを選んだらしい。

最初にホテルの写場で記念撮影。
続いて高原教会で挙式。牧師さんの関西弁がヤケに耳障り。
その後、洋風のあずまやに移り、シャンパーニュで乾杯。
いよいよ披露宴というときに先ほどの記念写真のデータが
何かの事故により消失と判明、撮り直しと相成った。
数多くの結婚式に列席してきたが、こんなのは初めて。
まっ、のどかな避暑地の小さな出来事だ。

宴の席に着き、食事のメニューを開いて驚いた。
JALやANAのビジネスクラスの機内食さながらに
和食とフレンチの2コースからチョイスするシステム。
しかもフレンチの主菜が、鱈場蟹・平目・鴨・和牛の
4種類から再び選べるご丁寧さ。これもまた初体験だ。

こんなケースでは例外なく、和食を避けることにしている。
ワインとの相性もさることながら、
和食だと「枯れ木も山のにぎわい」的な料理が多すぎる。
それに、マズいステーキは食べられても
マズい刺身は絶対に食えんもん。

くだんのフレンチコースは
イタリアンのアクセントをつけながら、
前菜だけでも冷・温取り混ぜて5皿。
平目・まぐろ・あおりいかのカルパッチョ、
かぶのプリンと赤かぶのポタージュ、
海胆と唐墨と甘海老の冷たいカッペリーニ、
帆立のフリット、一口フォワグラ丼。
メインが、鱈場蟹と舌平目のパイ包み焼き。
デセールは、ライチーと洋梨のジュレにミルクのソルベ。

結婚披露宴のコース料理としては
じゅうぶんに満足のいくものだった。
飲み物は地元の高原ビールと樽出しのボジョレーワイン。
新郎はイタリアンの料理人、新婦は花屋の店長さん。
笑顔の2人に見送られ、東京にトンボ返りの海の日の
軽井沢は終日雨が降りやまず。


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