「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第55回
雷門で朝食を (その1)

浅草のランドマークの雷門。
本当は風雷門というのが正式名称。
門に向かって右側に風神、左に雷神が鎮座しているのだが、
いつの間にか雷門の名前が定着してしまい、
門下に下がる大提灯にも雷門と記されている。
風神だけに吹く風で、自分の名前まで
どこぞに吹き飛ばしてしまったらしい。

「雷門で朝食を」と言っても、この門前で
ヘップバーンよろしく、クロワッサンをかじるのではない。
門の左側、数軒先の食堂「ときわ」で朝メシを食べるのだ。
朝の7時半から夜10時まで、中休みナシの通し営業。
食事処を見つけるのに難渋する週末の朝など
この店の存在はとてもありがたい。
これがニューヨークならば、
充実したブランチがどこででも食べられるのに。

日曜の朝9時45分、「ときわ」に入店。
隔週日曜の9時半に家政婦のオバちゃんが
やってくるので、家を追い出される羽目になる。
家でゴロゴロしていると、掃除の邪魔になるし、
第一、掃除機の騒音がやかましく、
おちおちテレビも観ていられやしない。
この日曜はちょうど大相撲の初日。
マンションの向かい側は隅田川を隔てて両国国技館。
朝からトンテケテンとふれ太鼓も
バルコニーから飛び込んでくる。自宅に長居は無用なのだ。

デパートの地下で食料を調達して、そのまま屋上へ、
という手もあるにはあるが、10時の開店まで
待たねばならないし、開店直後のデパートは大の苦手だ。
客もまだまばら、売り子さんが整列しているところに
うっかり足を踏み入れたひにゃ
「お早うございます!いらっしゃいませ!」の嵐。
これが何とも気恥ずかしい。
売り子の誰かと目が合ったりすると
そのまま通り過ぎるのが悪いような気がして
ついつい彼女の売り場で立ち止まる。
すると、どうしても何か買わなきゃ、
という気持ちに襲われてしまう。
それが味の濃い佃煮なんかだったら最悪だ。
まさかあさりの時雨煮を20グラムというワケにもいかず、
仕方なく買い求めた100グラム。誰が食うんだ、こんなに!

閑話休題。
雷門の「ときわ」であった。
日曜の朝だというのにほとんどの卓が埋まっている。
空いていたのはたったの2卓。
そのうちの1卓に落ち着いて、ゆっくりと品書きに目を通す。
この食事のあとは、夕食まで何も口にしない腹積もり。
高タンパク、低カロリーを基本軸に
ビタミンと食物繊維もしっかりと、摂取せねばならぬ。

        =つづく=

 
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2006年9月15日(金)

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