「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第56回
雷門で朝食を (その2)

「ときわ」の品書きはなかなかに興味深い。
「おしぼりが必要な方はおっしゃってください」――
この一筆が、まずステキだ。
銀座の高級イタリアン「エノテーカ・ピンキオーリ」など
お願いしたら「ございません」の一言だもんなぁ。
イタリア人は食事の前に
手を拭いたり洗ったりしないのかね。

玉子料理には、玉子焼き・目玉焼き・
ベーコンエッグが並んでいる。
面白いのは上玉子使用だとプラス100円というヤツ。
地鶏の玉子でも使うのだろう。
梅干し・焼き海苔・納豆など、
小鉢のコーナーにも上玉子100円とあった。

味噌汁も、豚汁・なめこ汁・貝汁とあって
貝汁は、はまぐり・あさり・しじみが日替わり。
定食屋はこうでなくっちゃ。

選び抜いたというよりも、迷った末に注文したのは
肉入りにら炒め・目玉焼き(上玉子)・しらすおろし・
焼き海苔・梅干し・貝汁(はまぐり)・新香(ぬか漬け)・
ごはん。誘惑に負けそうになった生ビールは我慢した。

豚小間入りのにら炒めは、かなりの量で、もやしもいっぱい。
これで野菜はバッチリOKだ。
サニーサイドアップの目玉焼きは千切りキャベツ添え。
上玉子のせいか、卵黄にネットリ感あり。
しらすはちょいと大きめ、上等品ではないが納得。
味付けでない焼き海苔はエラい。
梅干しは半カリカリタイプ、大粒が2粒で150円。
きゅうり・大根・キャベツのぬか漬けも真っ当だ。
はまぐりの味噌汁は貝の旨みが凝縮。
ときとして砂を噛むあさり、ときとして泥臭いしじみよりも
スッキリと上品。中ぶりのはまぐりが3個入り、
これで250円とは、ありがたや。
好事魔多し。肝心カナメのごはんが唯一の弱点。
いかんせん柔らかい。普段から硬めになじんでいるから
余計に気なる。年配者の多い客層に配慮してのことなのか。

それにしても、さすがに浅草。
ほとんどの客が朝から酒を飲んでいる。
生ビールのジョッキや、瓶ビールの大瓶が目立ち、
冷やのコップ酒に、お燗の大徳利なんて豪の者も。
お隣りの女性2人連れはともに大ジョッキ、いやはや参った。
やくざっぽい眼鏡のオジさんが炒飯をつまみに
大瓶を空けているかと思えば、夜勤明けだろうか
5人組の若い衆が補助椅子まで出してワイワイと
生ビールのお替わりに次ぐお替わり。
三ツ矢サイダーで、定食を食べてるオヤジさんが1人。
子どもみたいな味覚の持ち主のようだが、
これもまたいかにも浅草風、
どこか憎めず、微笑ましい。

 
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2006年9月18日(月)

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