「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第58回
下町の奇跡と言われたビストロ

近々、新著を出版してくれるグラフ社の
F元女史に聞いた耳寄りなハナシ。
浅草橋に「浅草の奇跡」と言われる
フレンチビストロがあるという。

浅草橋は浅草ではないけれど
それはそれとして、聞き捨てならない情報だ。
浅草橋の住人であるJ.C.オカザワが
知らなかったビストロの名は「ラ・シブレット」。
シブレットというのは日本のアサツキによく似たハーブ。
エゾネギなどと聞いたこともない名前で
呼ばれたりもして、英語ではチャイヴという。

訪れたF元さん曰く、奇跡とまでは言えなくとも
ボリューム満点で、味も結構とのこと。
さっそく出かけてみると、自宅から徒歩5分の至近距離。
いつも選挙の投票所になっている
育英小学校の裏手にあった。
入店すると、振り向いた若いシェフが
「満席になっちゃいましたぁ〜!」
おいおい、まだ11時35分だよ。
開店早々の満席じゃ、待っていても埒はあくまいと退散。

後日、今度は遅めの12時45分に訪問して
すんなりカウンター席に通された。
メニューボードの本日のランチは基本的に1050円。
料理によってはプラス料金が加算される。
NZ産厚切りサーロインステーキ黒胡椒焼き、
八丈島産天然おご鯛のポワレ江戸前あさり添え、
豚三枚肉のブレゼいちぢくの甘酸っぱいソース、
などが並ぶなか、大分産天然関鯛のタイム付け焼きを
注文(+500円)。

牡蠣のスープ(980円)もスターターとしてお願い。
スープに割高感があるが、好きな食材でもあるし、
この時期、岩牡蠣から真牡蠣に切り替わったのにも惹かれた。
大味で濃厚な岩牡蠣はもともと苦手。
スープには牡蠣が1粒、上にはシブレットが散っている。
一口すすると優しい舌触りのまろやかな味。

関あじ・関さばにはなじみがあっても
関鯛というのはあまり聞いたことがない。
ジューシーな身肉からはタイムが香り、
あさり・帆立・小やりいかが、脇を飾って量もたっぷり。
ここにもシブレットが使われて、名は体を表している。

付け合せが生野菜主体のサラダ風。
熱い皿に盛るのは感心しないが、
仕舞いには中華料理のレタス炒めのようにシンナリと、
これはこれでOKだ。
シェフの計算に裏打ちされた裏技であったなら
なかなかの仕事人と言わねばならない。
これが下町の奇跡なら、
下町は奇跡だらけになってしまうが、料理の水準は高い。
次回は夜に出かけ、赤ワインと一緒に肉料理を試してみたい。

 
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2006年9月20日(水)

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