「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第63回
自由が丘に香る風  その2

大井町線の改札から徒歩5分ほどの
中華料理店「香風」は
香菜(シャンツァイ)のシャンに
風牌(フォンパイ)のフォンで
「シャンフォン」と発音する。

香菜は大好物。中華やタイ料理店では
必ず別注で、お皿に山盛りにしてもらう。
「風牌って何のこと?」――こういうお方も多かろう。
麻雀牌の東西南北各4枚、計16枚の牌のことだ。
最近はトンとご無沙汰ながら、
昔はひんぱんに卓を囲んだ。

地下に降りて入店すると、
中は吹き抜けのデュープレックス仕様。
高い天井が中華料理店らしからぬ
快適な空間を生み出している。
老若を問わず、カップルには2階席がオススメ。

紹興酒のお試し3点セット(1000円)を迷わずに。
中国の女児紅と紹興貴酒、それに台湾の陳年だ。
中ではまったりとしたコク味を持つ紹興貴酒がイチバン。
女児紅もなかなかだが、甘みが勝っている。
陳年は今しばらくの熟成が必要、まだトンガリが目立つ。

料理はまず、ピータン。もちろん香菜を別にお願いする。
紹興酒にはピッタリのつまみで、この店のは殊に良質。
八角風味のローストポーク風焼き豚も個性的な前菜だ。
台湾産の豆苗炒めはアッサリとした味付けに、量はタップリ、
これだけでも一日分のビタミンと食物繊維がバッチリ摂れる。
ちなみに日本産の豆苗、いわゆる貝割れ豆苗の用意もあるが、
豌豆(えんどう)の若芽だけを摘んだ台湾産の食味が
はるかに上回るのは言うまでもない。ぜひ、台湾産を。
グループならば、この豆苗と空芯菜の両方を試されたい。

フカヒレ姿煮は上海スタイルの紅焼仕上げ。
支店出しまくりの「筑紫樓」と同じ料理法で
味付けは濃い目。酒の飲めない方は白飯と一緒に。
残念ながら、小籠包だけは包んだ皮が頼りなく
肝心のスープが漏れるので、焼き餃子のほうがいい。

固形燃料とともにグツグツと小鍋仕立てでくる
麻婆豆腐は辛口の四川風とは異なり、
むしろイタリアンのボロネーゼを思わせて
激辛一辺倒のご時世に、むしろ新鮮味がある。
これなら必ずしも白飯が必要ではない。

締めには、そろそろシーズンを終える五目冷やし中華と
目の前で餡を掛けてくれるフカヒレあんかけ炒飯を。
五目冷やしのしなやかな麺は好みだが、
蟹カマだの帆立だの、余計な具がうっとうしく、
もっとシンプルな冷やし中華にするべきだった。
その代わり、フカヒレ炒飯がすばらしい。
あんかけと別々に食べても美味しく、
この店イチ推しのスペシャリテはランチにもうってつけ。

 
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2006年9月27日(水)

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