「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第64回
パン粉で揚げないロースカツ

新宿で食事をすることはあまりない。
散歩して楽しい街でもないし。
山手線の外側に高層ビルの建ち並ぶ西新宿は
だだっ広くて歩き回る気にもなれないから
なおさらのこと。たまに出かけても
もっぱら新宿3丁目界隈をブラついている。

「新宿中村屋」には、ときどきカレーが
食べたくなるので立ち寄る。
その際には2階の「ルパ」ではなく
割高でも料理・サービス・居心地ともに
レベルアップする3階の「レガル」を利用している。

上野・浅草ほどではないにせよ、
とんかつの人気店が数あるのが新宿の特徴。
そしてその人気店の人気商品が
揃いも揃ってペケなのも大きな特徴だ。
「王ろじ」の立体的カツカレー・とん丼、
「すずや」の醤油味とんかつ茶漬け、
悲しいことにアイデアだけが先走って、
実の伴わない料理を売り物にしている。
どちらも感心しないどころか、2度と食べる気がしない。

新宿3丁目の「とんかつ三太」も
そのユニークさにかけてはヒケをとらない。
食パンを細切りにしてコロモ代わりとする
ロースカツやヒレカツが名物。
一口ヒレカツの姿など、まるでイガ栗のようだ。
豚肉は柔らかくとも、コロモが油を大量に吸収するから
途中で飽きてしまい、食後には胸ヤケが待っている。

通常のロースカツは持て余し気味。
脂身を除去した特ロースカツでさえ、完食は難しい。
それならランチタイム・サービスの
控えめサイズでじゅうぶんだ。
赤だし・新香付きの定食は1000円ポッキリ。

同じ値段の華定食というのを試してみた。
内容は、一口ヒレカツ2個に
海老フライが1本とコロッケが1個。
やはり小物は、その図体のワリに
コロモが付きすぎてシツッコい。
油を和らげるためか、千切りキャベツ用の
和風ドレッシングが卓上に。

あとからやって来てカウンター席の
隣りに座った常連客がコロッケ定食を注文。
男性客がコロッケとは珍しいなと思いつつ、
自分の皿のコロッケに箸を付けて、膝をポンと打った。
ずんぐりしたコロッケはコロモの比率が低くなる上に
じゃが芋が油っこさを緩和するのだ。
「♪今日もコロッケ、明日もコロッケ♪」
そんな歌があったが、コロッケは意外にも
飽きのこない揚げものなのかもしれないなぁ。

 
←前回記事へ

2006年9月28日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ