「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第65回
目黒不動で 変わりそば

江戸の昔から、庶民の信仰を
集めていたという五色不動。
歴史小説にもひんぱんに登場する
目黒不動が断トツに有名だが、ほかにも
目白・目赤(本駒込)・目青(太子堂)・目黄とある。
このうち目黄不動だけは諸説があり、
台東区三ノ輪と江戸川区平井に
それぞれ存在していて
どちらが本家本元なのか、判然としないらしい。

それはそれとして、目黒不動にお参りしたあと、
権之助坂あたりのラーメン店で、遅い昼メシでもと
山手通りを北に向かって歩いていた。
この大通りにもラーメン店が数軒。

ふと1軒のラーメン屋ならぬ
蕎麦屋が気になって、店先の品書きに目を通す。
そそられる酒肴や蕎麦が並んでいて
一瞬暖簾をくぐろうとしたものの、
明るいうちから酒でもないわいな、
その日はそのまま、目黒駅に続く坂を上る。
ただし、屋号の「くわ原」を携帯から
PCに送ることは忘れない。

あまり出向くエリアではないため、訪問は数ヵ月後。
界隈に住む友人を誘い出しての入店だ。
ビールのあとは、珍しい焼酎をグラスでいろいろと。
福岡の芋焼酎・青木昆陽はネーミングに惹かれた。
韃靼蕎麦で仕込まれた皇蕎は原料に興味しんしん。
黄色い韃靼蕎麦は食べたことがあっても、焼酎は初めて。

板わさと玉子焼きだけはハーフポーションがあり、
これはありがたやと、さっそく注文。
続いて、春子(真鯛の幼魚)のマリネ、
まぐろ赤身のづけ、鴨のたたき、
温奴と温野菜の盛り合わせ、
新ごぼうと山うどの天ぷら。
それぞれに一工夫ある酒肴の数々は
お味のほうもけっこうだった。
山海の珍味に加え、野菜もタップリ。
これじゃカラダに悪いワケないヨ。

締めの蕎麦は迷いに迷う。
選んだのは、変わりそばの木の芽そばと
桜海老のかき揚げ天ぷらそば。
木の芽そばは、山椒の新芽を打ち込んだもので
他店ではお目にかかったことがない。

変わりそばというと、しそ切り、柚子切り、
芥子切り、胡麻切り、茶切りあたりが一般的。
まれに、レモン切り、すだち切り、よもぎ切りなども。
真っ白な更科そばに、色と香りを施したものをいう。

桜海老だけをチリチリに揚げたかき揚げが美味。
でも本当は、玉ねぎと一緒に揚げるのが理想的。
ぜひプロの職人さんに、これをやってもらいたい。

 
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2006年9月29日(金)

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