「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第71回
シンガポール 鶏飯との出会い

海南鶏飯(ハイナンジーハン)。
英語でハイナネーズ・チキンライス。
シンガポールの国民的料理は
海南島出身者が広めた炊き込みご飯。
チキンストックで炊き込んだライスの上に
カットした蒸し鶏を乗せ、
チリソース・たまり醤油・生姜汁でいただく。
サイドにはチキンスープが添えられる。
ケチャップ味の和製チキンライスとは
まったくのベツモノだ。

市内には専門店が何軒もあるが、
ホテルのレストランでも気軽に
食べることができ、特にマンダリンホテルの
「Chatter Box」が人気で
海外からの観光客にも好評を博している。

炊き上がったインディカ米のクセのある匂いと
薬味の香菜のせいか、苦手な日本人も少なくないが、
とても美味しい米料理だと思う。
初めてシンガポールで出会い、即座に魅了された。
イタリアのリゾット、スペインのパエジャより好きだ。
米を扱わせたら、アジア人の右に出る民族はいない。

麻布十番の商店街のはずれ、
六本木ヒルズに差し掛かるところに
シンガポール料理店「海南鶏飯食堂」がある。
チキンライスを食べさせる店としては
京橋の「シンガポール・エンポリウム」や
西荻の「夢飯」が先駆者だろうが、
料理のヴァリエーションはこちらのほうが豊富。
各種カレーはもとより、肉骨茶(バクテー)や
ホッケンミー(福建焼きそば)まで取り揃える。

インドのパンケーキ、ロティパラタには感激だ。
粉々感のない薄いパンケーキを
具のないカレーソースに浸して食べるのだが、
お世話になるのは決まって朝食、週に1度は食べていた。
メニューにロティパラタを見つけたときには
うれしさのあまり、小躍りしてしまったくらい。
正直言って、チキンライスよりも愛着がある。

ラクサ(ココナッツミルクのスープ麺)など
マレー系料理もしっかりとカバーされている。
店主はよほどシンガポールの食文化に傾倒していて
忠実に再現しようとしているのだろう。
さもなければ、ここまで手が回るものではない。

中華・インド・マレーが渾然一体となった
シンガポール料理はもっと東京に普及してもいいハズ。
ニューヨークが人種の坩堝なら
シンガポールは料理の坩堝と呼ぶにふさわしい。

 
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2006年10月9日(月)

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