「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第76回
雨の夜に 新潟一の 居酒屋で

四半世紀ぶりで新潟市を訪れた。
縁薄いこの地で、食べ歩いてみたいと思ったのだ。
9時12分東京発の「とき」がノンストップで
新潟に到着したのは10時49分。
おいおい、新潟ってこんなに近かったっけ。
これじゃ列車内で殺人事件なんて
起こるヒマもありゃしない。

前回は佐渡に渡る途中、半日だけのトランジット。
池袋にも支店を構える郷土料理の「田舎家」で
アカヒゲというアミの塩辛と
のっぺい汁でビールを飲んだ。

知らない街に来ると、名所旧跡そっちのけ。
日がな街中を歩き回り、
気に染む酒亭・居酒屋・鮨屋・バーの
探索に血道を上げるのが常だ。今回もそのつもりが
生憎の激しい雨に、痛恨のギブアップ。
もっとも東京はもっと大変、TVの映像は
突風にあおられた雨傘の残骸を流している。

こんな時に頼りになるのが
居酒屋案内の権威、太田和彦さんの著作。
その1冊に新潟の店を探すと
「案山子」、「いづも」の2軒が紹介されていた。
居酒屋のハシゴはお手のもの、
急ぎ、タクシーで「案山子」に向かう。

庶民的な店内のカウンターには
常連さんの女性が2人、それぞれが独り客。
金曜の夜も雨のせいか閑散としている。
酒は、まず北雪の冷や。
スッキリとした佐渡の銘酒に出会ったのは
ニューヨークの「Nobu」が最初。
デ・ニーロも出資する人気店が置く日本酒は北雪のみ。
あとは麒麟山の燗に切り替えた。

つまみは、初っ端の黒埼産朝採り枝豆に感服。
素材も茹で加減も文句なし。
刺身盛り合わせは、わらさ・真いか・フナベタ。
わらさは天然のはまちで、ぶりの一歩手前。
真いかは俗に言うするめいか。
聞きなれないフナベタは小さな平目の一種。
刺身には、持ち込んだ本わさびと
鮫皮のおろし板に活躍してもらった。

柳がれい一夜干し、かきフライといただいて
お勘定は5千円でオツリがきた。
さすがに太田さん、ほかは知らぬが、現時点で
「案山子」を新潟一の居酒屋と位置付けたいくらい。

2軒目の「いづも」に流れると
こちらは逆に満員御礼、座る場所とてない。
はぁて困った。右も左も判らないのに
夜雨の中の探しモノはツラいなぁ。
まっ、何とかなるでしょ。

 
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2006年10月16日(月)

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