「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第77回
鮨屋が 佐渡から 拉致をする

土曜日も終日雨の降り続く新潟にいる。
前夜は居酒屋「いづも」に入れずに
思案投げ首のあと、
古町の居酒屋とバーを1軒ずつ回って
ホテルに戻った。

東京は一転して午後から快晴だというのに
新潟はよく降る。
朱鷺メッセの展望フロアから見えるハズの
佐渡がまったく見えない。
横田めぐみさんの涙雨ならば悲しい。

出歩くワケにもいかず、
仕方がないからTVでJリーグの観戦。
地元のアルビレックスが
横浜マリノスを下して、まずはメデタシ。
新潟の人のサッカーに対する思い入れは強い。
浦和と双璧か。

夕刻まで時間をやり過ごし、
出向いたのは数日前に予約を入れた「鮨幸」。
数十年前の繁栄を偲ばせる
寂れた商店街に店はあった。
収集した情報を鵜呑みにすれば、
新潟一の鮨屋ということになる。

つけ台に着いて親方と正対する。
冷え込むので最初に清泉の燗、
そして芋焼酎・七夕に移行する。
おまかせはイヤだが、郷に入れば郷に従え、
にぎりだけは、お好みにしてもらい、
いただいたモノは、かくの如し。

つまみ
 ばい貝酒煮・木(もく)がれい・木がれい海胆巻き・
 子持ちしゃこ・水だこ・甘海老とその味噌・
 ぼたん海老とその外子・かつお・煮穴子

にぎり
 小槍いか・小肌・本まぐろ赤身

*ジルシが特筆で、難儀だったのは江戸前の煮穴子。
活きているのを目の前でさばいてくれるのはいいが、
かなりのサイズ。柔らか煮の下に酢めしがチョッピリ。
デカい穴子は苦手、トロける穴子も好みではない。
この店の一番人気も、自分にとっては猫に小判だ。

木がれいの食感は真子がれいにソックリ。
利尻のばふん海胆はすでに終わり、今は根室産。
しゃこは宮城県亘理郡荒浜産。これは地元の漁師さんから
ここの親方がすべて買い占めるのだそうだ。

立派なぼたん海老は北海道ではなく、佐渡の産。
専門の漁師さんがいるそうで、佐渡の人は地元で
ぼたん海老が揚がるのを、ご存じないという。
それを特別なルートで仕入れるのだが、
新潟の鮨屋が佐渡のぼたん海老を
ひそかに拉致しているワケだ。
何とまあ、したたかな。

 
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2006年10月17日(火)

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