「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第78回
ラブホ街の焼肉屋

鶯谷というと、音の響きは上品だけれど
実際はラブホテルが林立する地域。
まだ明るい時間だというのに
駅の北側に迷い込んだら
そのスジの女性から声をかけられたりもする。
界隈では彼女たちが「ウグイス嬢」と
呼ばれているというのは冗談。

駅からラブホ街を抜けた言問通り沿いに
人気の焼肉店があるというので、出向いた。
コンピューター関連でいろいろと
お世話になっている青年に
お礼のご馳走をしようと
リクエストを仰いだら、即座に焼肉という応え。
ふ〜ん、やっぱり若さだねぇ、という印象。

訪れたのは、その名も「鶯谷園」。
予約時間の7時半キッカリに入店すると
店内はほぼ満席。
食べ放題ではないが、制限時間は2時間。
こちらはもっぱら生ビールに専念して
食べるほうは8割がた彼に任せた。

肉を焼き始める前に、まず白菜キムチ。
そしてレバ刺しとユッケだ。
キムチはアミの塩辛なども入る濃厚なタイプ。
レバ刺しが良質で、ユッケはそれなり。

焼肉は、上タン塩(1200円)・ハラミ(900円)・
特上ランプ霜降り(1300円)・ホルモン(650円)・
特上カルビ(1600円)・サーロイン(100g当たり2500円)。
脂肪の少ないハラミが一番好きだ。
あとは少々硬いが、味噌だれに漬け込んだホルモン。
何だか安いものばかりが好みに合ってしまう。
肉の値段は結局、脂が多くなるほど上がっていくようだ。

それにしても若者はよく食う。
最後のサーロインは250g近くはあったろう。
1切れだけ試したが、とてもとてもあとが続かない。
その脂っこいのもペロリと平らげた彼曰く
「初めて喉をすべり落ちてゆく肉を食べました」
それは良かった。満足してもらえれば
こちらもオゴリがいがあるというものだ。
食いっぷりの見事さにツラレて、スーパードライの
生中をジョッキで4杯もやっつけてしまった。

若い頃は好きだった焼肉も40代に入ってから
トンと魅力を感じなくなった。
ここ数年は焼肉店に行くのも年に3〜4回と激減。
ビールのあとの酒の品揃えが貧弱なのも一因だが。

鶯谷からホームグラウンドの浅草は近い。
食後、観音裏にある行きつけの
スナック「N」に直行。
自慢のノドをずいぶん聴かせてもらったが、
その歌声のパワフルなこと。
パワーの源泉は霜降りの焼肉に相違ないと悟った次第。

 
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2006年10月18日(水)

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