「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第84回
「亀戸餃子」は想定の範囲外 (その2)

とんかつ屋「萬清」のカウンターに陣取り、
目の前で店主が揚げるロースカツを待つこと10分。
かなりの厚みを持ったのが、キャベツを敷いて登場。
きゅうりぬか漬け、豆腐とわかめの味噌汁に
大盛りのごはん。ごはんを減らすよう頼もうにも
フロア担当はたった1人で忙しそう、あきらめた。

それよりも奇妙だったのは脇に添えられた小鉢。
冷たい平打ちのうどんが、ほんの少し。
揚げ物の付け合せでおなじみの
ケチャップ・スパゲッティの代役かしら。
あまりのセンスのなさに、小鉢には箸をつけずじまい。
ロースカツにはなんの魅力もなく
ボリュームと値段だけが取り柄。
ごはんも残す羽目になって、飛込みを後悔することしきり。

支払いを済ませて思案する。
遠くはないが、せっかく亀戸まで来たのだ、
久々に「亀戸餃子」をやっつけとくか。
でも「迷晰(めいせき)」な頭脳は
「血糖値が上がったから、もうやめておけ!」
とささやいている。
「そうだ、やめとこ」と思いつつ、
店の前を通り過ぎようとしたら
自然にカラダが反応して入店、
無意識のうちに、椅子に腰掛けていた。

この現象って、何かに似ている。
心は愛する人に捧げていても
バカなカラダが他の相手に疾ってしまう。
世に言う「浮気」とは、こういうことなんだな。

餃子は250円と安い代わり、注文は2人前からの受付け。
10個はキツいけれど、こうなったら仕方があるまい。
ほどなく運ばれた餃子は、焦げ面カリッの中はシットリ。
変わらぬ味と焼き上がりに、満腹にもかかわらず満足。

ふと周りの客を見ると
みな小皿に盛られた茹でもやしをつついている。
この店は餃子しか出さない店で
以前はもやしなど見たこともなかった。
遠州浜松の餃子にもやしはつき物だが、その影響かしら。

由来はともあれ気がつけば、もやしがないのは自分だけ。
こりゃ、てっきり忘れられたと思い、控え目に要求する。
オバちゃん応えて曰く
「もやしは3枚目からのサービスなのよね、
 でもお客さん、もっと食べるでしょうから
 もう1枚焼いとくね」
「エッ?ちょ、ちょっと。アッ、ハイお願いします」

とんかつ定食を食べたあとの
餃子15個は、まったくもって想定の範囲外。
藪をつつくと、蛇が出るというが、
もやしをつついて、ゲップが出た。お〜苦しい。

 
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2006年10月26日(木)

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