「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第91回
オトコが宝塚を観て どこが悪い! (その1)

いやベツに怒っているワケじゃございやせん。
この1年ちょっとの間、J.C.の芸能文化史は
激動の時代を迎えておりまして
新たにアシを踏み入れたジャンルが次から次と
矢継ぎ早やなのでございます。

順を追って振り返ると、まず新派と新劇。
そしてフラメンコ、小唄、歌舞伎、宝塚と続いたのだ。
それぞれの分野の第一人者やトップスターと
必然と偶然をあざなうがごとくに
多少なりとも関わりを持てたのは幸運だった。

わが身には生涯無縁と思われた宝塚にも
ヒョンなことからアシを運ぶことと相成った。
3年ほど前に世に出した一著「浅草を食べる」を
キッカケにして、O会長なる人物と知り合ったのだが、
浅草は観音裏のドン(ヤクザには非ず)の
異名をほしいままにする彼と、今となっては
週に1度は酒を酌み交わす仲。
世代を超えて人生の大先輩に、おつき合い願っている。

このO会長が、たとえ奥様主導とはいえ、
星組の熱烈なるファン。
つい誘われて「禁断の世界」に飛び込んだ次第だ。
初めての宝塚観劇はオトコにとって
テレくさいというか、気恥ずかしいといおうか、
初めてのフォークダンスみたいなキマリの悪さ。
何事も人づき合いと割り切って
いざ「ベルばら」を観てみると、意外や意外、
ハマッたというほどではないにせよ
「へぇ〜、けっこうイカすじゃん」てな感想。
以来、姿勢を前向きに修正した。

先日も星組男役トップの
湖月わたるのサヨナラ公演に赴いた。
劇場前での仲間との待ち合わせまで
1時間ほど間が空いたので
すぐ近くの居酒屋「佃喜知」に立ち寄る。
店主夫婦と娘さん、それに女将さんのお姉さん。
家族経営もここに極まれり、という銀座の佳店は
かれこれ3年ぶりになろうか。

ビールを注文すると、出された突き出しがなかなか。
長芋千切りを敷いた蒸し海胆の上に針海苔がパラリ。
生海胆はふっくらと蒸し上げられ、
長芋に施した庖丁の鮮やかなこと。
良い店でも、既製品丸投げのおざなりな突き出しに
ガッカリさせられることが多々あるなか、
こういうシゴトに出会うと、思わず頬がゆるむ。
もちろん、お味のほうも格別であった。

この店の必注科目、小肌の酢洗いをお願いすると
おろし生姜ときざみねぎを添えてきた。
以前は本わさびで食べさせたものだが、
いつの頃からスイッチしたのだろう。
すかさず、わさびをおろしてもらう。
小肌にはやはりわさび。
鯵や鰯でさえも酢で〆たなら、生姜よりわさびなのだ。

        =つづく=

 
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2006年11月6日(月)

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