「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第93回
スペシャルは みな売り切れ

市ヶ谷のお濠ばたから神楽坂に向かう
牛込中央通りには洋の東西を問わず、
気軽に利用できるレストランが目白押し。
この界隈にはフランス人の住人が多いせいか
ビストロやブラッスリーが集中している。

中でもボリューム満点の料理と
フトコロに優しいお勘定が注目を集める
「ビストロ・ド・バーブ」はかなりの人気店。
キャパシティに限界があるため、予約が取りにくく、
人気に拍車をかけている。

小体なわりには少人数よりも
グループ向きの店なので、健啖家にして
大酒飲みを3人募り、総勢4人でおジャマする。
ビールはエビスの小瓶のみ。
好きな銘柄ではないが、致し方あるまい。
白ワインは、F・ティネル・ブロンドレの
プイィー・フュッセ・ラ・レビュファット‘04年。
赤は、ブイシェールのジゴンダス‘04年と‘03年。

サービス担当の若い男性が
本日のスペシャルを丁寧に説明してくれた。
その日のスペシャル4品は以下の通り。
ひな鶏のロースト、和牛レバーのステーキ、
和牛頬肉の赤ワイン煮、イベリコ豚肩ロースのロースト。
すべてメインディッシュで、一同オードブルや
通常メニューとの兼ね合いを図りながら、しばし相談。

ほどなくして、注文の段階に入ると、
スペシャルは大方売切れ。
残っていたのはイベリコ豚だけという
惨憺たる結果が待ち受けていた。
時刻は19時15分。先客は8〜10名といったところ。
この時間、この客数で4皿のスペシャルのうち
3種類がソルド・アウトとは、これいかに!
いくら在庫を残したくないといっても
明らかにこれはやりすぎ。告知された客の落胆は大きい。

真鯛のカルパッチョ、槍いかとアスパラの温製サラダ、
あわびと柿とクレソンのサラダ仕立て、
フォワグラのステーキなどの前菜に、
メインは、オマール海老のグリル、
手長海老を詰めた若鶏のロースト、仔羊のロースト、
前述のイベリコ豚のロースト、
何やらローストだらけになっちゃった。

味付けは全体的に濃い目で塩辛い。
初っ端にしょっぱい想いをしているだけになおさらだ。
付け合せの野菜の量もタップリなのだが、
食材の重複も目立ち、不完全燃焼の一夜と相成った。
デセールとカフェはパスして
神楽坂の隠れた名店「むら田」に直行。
素朴な秋田料理で飲み直し、カラオケで裕次郎を歌って
クルマに乗り込んだのは、午前2時。
もうビストロのことなど、みんなどこかに忘れてる。

 
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2006年11月8日(水)

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