「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第94回
柴又は 鯉と鰻と 草だんご (その1)

葛飾・柴又といえば一も二もなく
何てったってフーテンの寅さん。
京成・柴又駅前の小さな広場では
寅さんに扮した故渥美清の銅像が
行きすぎる人たちを見守っている。

寅さんシリーズは大好きで
全48作、そのすべてを観た。
お気に入りのベストスリーは
第7作「奮闘篇」
  (マドンナ・・・榊原るみ)
第27作「浪花の恋の寅次郎」
  (マドンナ・・・松坂慶子)
第29作「寅次郎あじさいの恋」
  (マドンナ・・・いしだあゆみ)
殊に「奮闘篇」は繰り返し、繰り返し楽しんだ。

初期の頃は寅さんもさることながら、
初代おいちゃんの森川信がすばらしい。
寅さんが登場しない場面でも「笑い」の取れる役者で
味のある演技が光り、飄々としたオトボケは絶品だった。
急逝によって、第8作までのキャスティングだったが、
生きていれば、また違ったシリーズになったろう。
悔やまれてならない。

ほかにも「望郷篇」(長山藍子)、
「純情篇」(若尾文子)、「寅次郎夢枕」(八千草薫)、
「寅次郎わが道をゆく」(木の実ナナ)、
「寅次郎ハイビスカスの花」(浅丘ルリ子)、
「寅次郎紙風船」(音無美紀子)、
「口笛を吹く寅次郎」(竹下景子)、
「寅次郎物語」(秋吉久美子)あたりはみんな好き。

さて、柴又で食べねば。
最初に映画でも実名で登場する川魚料理の「川千家」。
食事処として、参道きっての大店は
一見あまり期待できそうにない風情。
黙っていても人の集まる帝釈天のご利益に
与っているような感じなのだ。
ところが意に反して
この店の料理はなかなかのものだった。

昼に訪れても、小上がりに落ち着くと、
ついつい一杯やりたくなってしまう。
ビールはスーパードライ、酒は富貴のお燗。
もちろん、両方お願いした。

注文の品々は、鰻のあらい・柳川・鯉こく・うな重。
コリコリとした歯ざわりの鰻のあらいがとてもいい。
ニセわさびが残念だけれど、わさびを使わずとも
じゅうぶんに味わい深い。
その上をいったのが鯉こく。
下手を打つと泥臭かったり、生臭かったり、
どうにもならない難しい料理なのだが、
特筆に価する逸品に仕上がり、本日のベストであった。

        =つづく=

 
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2006年11月9日(木)

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