「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第99回
ドクロ本第二弾 始動する (その2)

北赤羽の駅の周りは四方八方見渡す限り、
団地が建ち並び、いかにもベッドタウンという景色。
食事処「わじ」は駅から徒歩1分の距離にあった。
その日の昼のメニューは
肉定食がチキンのチリソース、
魚定食は鯖の塩焼き、
洋定食はスパゲッティ・カルボナーラ、
日替わりがカキフライ。

鯖の塩焼きはふっくら焼かれて旨みいっぱいながら
小ぶりなカキフライはそれなりだった。
あきたこまち使用のおひつご飯は
炊きたてというふうでもなく、
何よりも、小鉢・味噌汁・新香が化調まみれ。
これではドクロ本に採用できるわけもない。
せいぜい「お近くにお住まいの方はどうぞ」という程度。
冷たい北風に吹かれながら、とぼとぼと赤羽まで歩く。

その翌日。打って変わって汗ばむほどに暖かな日。
「不満の残る有名店」の候補として
深川のそば屋「日吉屋」を
再チェックしておこうと家を出た。
浅草橋からすべて都営地下鉄の浅草・新宿・大江戸線を
乗り継いで、最寄りの清澄白河を目指す。

ところが乗車して1つ目の東日本橋で
乗り換えるところを乗り越してしまい、隣りの人形町で下車。
それならばと、歩いて半蔵門線の水天宮へ向かう。
ここでふと、近くに気になっていた店があることを思い出す。
予定を変更して天ぷら屋「中山」の暖簾をくぐった。

天丼・穴子天丼・天ぷら定食・日替わり定食などあるうち、
天ぷら定食(1100円)をお願い。
ほどなく登場した定食は天ぷらが
海老2本・きす・いか・人参・玉ねぎかき揚げ。
それに、しじみ味噌椀・きゅうり&キャベツもみ・ごはん。

想いのほかに天ぷらが上々だ。
コロモの華はかなり開いているものの
サックリと軽やかな揚げ上がり。
海老は尻っぽまで食べられるし、きすもホックリ。
するめいかのみ薄っぺらで固かったが、
人参と玉ねぎが失点をカバーする。
ついついあとを引き、穴子を追加して、これもよし。
なんの気取りもない、いかにも庶民的な天ぷらは
どんぶりめし片手にパクパク食べるにふさわしい。
おろしの入った天つゆも甘辛濃い目の下町風。

これはいい天ぷら屋に当たったと
ほくそ笑んだのは言うまでもない。
第二弾のドクロ本に採用することを即座に決める。
思えば、地下鉄を乗り越さなければ、
いつ訪れるか予想もつかない「中山」。
人生は何が幸いするか、しれたものではない。
「禍福はあざなえる縄の如し」
身を持って実感することとなる。

 
←前回記事へ

2006年11月16日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ