「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第103回
今年最初の上海蟹 (その2)

待つこと15分。
待望の上海蟹がつがいで蒸しあがった。
案の定、メスのほうはかなり小ぶり。
12月に入って彼の地に東風が吹かないと
メスは食べごろを迎えない。
気になるお値段は各2500円と同値。
サイズがずいぶん違うけれど、
2匹のトータルでバランスを取るのだろう。

上海蟹を上手に食べるにはコツがあり、
両手で尻の部分からパッコリと甲羅を外し、
続いて胴体を縦割りに真っ二つにする。
そうしておいてから、身をほじり取るように味わう。
やはり体格のいいオスが美味しく、
小柄なわりに、外子を抱えたメスは分が悪い。

そうこうするうち運ばれた
小海老のチリソースと
酢豚にはこれといった特徴がない。
味付けがいたずらに濃いだけで、やや凡庸。
この店はどこででも食べられるものは避け、
作り手の個性が如実に表れる料理を選びたい。
定番は地域の常連のために用意しているだけで
本来は得意とする料理ではなさそうだ。

料理長のオススメには牛肉としめじの炒めや
あわびと竹の子の炒めなどが並んでいる。
どうやらしめじはキーポイントとなる食材のようで
つゆそばの看板となる皇蘭湯麺、
他店では中華丼に値する皇蘭会飯、
店名を冠した麺・飯類には必ずしめじが使われている。
よほど料理長が好きなのだろう。

締めにはフカヒレ姿煮そばをすすめられたが、
一人前4800円と高価な上、
普段は絶対に注文することのない品につき、
やんわりと辞退する。
べつにフカヒレが嫌いというワケではない。
この組み合わせだと、フカヒレを食べてる間に
麺がノビてしまうのではないかと気が気でなく、
落ち着いて味わう余裕が生まれてこないのだ。
誰が始めたのか、面倒なものを思いついたものだよ。

代わりに旬を迎えつつある
かきつゆそばを所望した。
金1600円也と、フカヒレそばの3分の1の値段。
これなら安心していただける。
片栗粉をはたいて、サッと揚げたかきがゴロゴロと
6〜7個は入っていたろうか。

ところが残念なことに、すでにお腹はパンパン。
好きな食材にもかかわらず、2粒食べるのが精一杯。
ストマックはすでに許容範囲を超えている。
加えて、味付けが醤油ベースの甘辛味ときた。
仕上げには塩味スープであっさりと締めたかったのに。
 かき食えば ゲップ出るなり 下井草
失礼!

 
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2006年11月22日(水)

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