「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第114回
浅草で芸者遊び (その2)

二度と足を踏み入れることさえかなわぬ
浅草見番にての酒宴。
ビールで乾杯のあと、ふぐ刺しを合いの手に
芸者衆の白魚のような(ちと誇張あり)指で
注がれる燗酒の盃を重ねながら、しばし歓談。

旧交を温めつつも、
「あの妓が可愛い」
「いや、こっちの年増のほうが艶っぽいね」
「三味の姐さんが意外に粋じゃあないか」
お座敷に慣れない田舎者の会話は
品格のかけらすらありゃあしない。
恥ずかしながら、自分もその一人だが。

舞台は立ち方(踊り手)、地方(唄・三味線)、
それぞれ2人揃い踏んだ「鶴亀」で幕を開けた。
さすがに花柳界が仕込みし、練達の芸者衆、
踊り・唄・三味はもとより
立ち居振る舞いからして小気味よい。
鍛えられた新派の役者ならともかく、
新劇女優の付け焼刃とは別物なのだ。

蓋を開けると、三重弁当の最下段は白いごはん。
これには意表をつかれたものの
女性の招待客もかなりの数にのぼる宴会、
酒を飲めぬ人への配慮なのだろう。
車海老と野菜の炊き合わせ、
白身魚の真丈の衣揚げ、
そんじょそこいらの仕出し弁当とは一味違う。
焼き炒めた牛ロース肉など、なかなかの美味しさ。

キレイどころとのお座敷ゲームで舞台に狩り出され、
一同の失笑を買ったりしながらも、宴たけなわ。
お次は日本にたった4人しか残存しない
幇間(太鼓持ち)さんの登場。
ちなみに4人とも浅草花柳界に所属している。
タレントの佐藤B作によく似た幇間が
「鎌倉無宿 島育ち 
 オットどっこい 女にしたい菊之助」
おなじみ「弁天小僧」で盛り上げ、
定番の「かっぽれ」では酒宴をさらに和ませる。

ビール・日本酒・焼酎と飲み継いで
今宵はいささか酩酊気味。
三・三・七拍子で華やかに締めて、お開き。
せっかちなO会長に急き立てられて
S嬢ともども夜の街へ。頬に当たる夜風が心地よい。

近所のクラブ「K」で1曲歌い、
続いて雷門のジャズバー「U」へ。
当夜は月に2度あるライヴの当日だった。
ここで高校時代の同級生にして
今は大手酒造会社の常務をしている
K石君とバッタリ。
初来店のO会長も「いい場所発見」と
ことのほかご機嫌だ。
さんざん飲んだというのに、
まだまだ飲み続ける愚かなJ.C.であった。

 
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2006年12月7日(木)

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