「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第117回
行ってはみたが 秩父夜祭 (その1)

クラブツーリズムが催行した
秩父夜祭のツアーに参加してみた。
20年以上も前に長瀞の荒川下りに出掛けた際、
近くの温泉に1泊した記憶はあるが、
秩父の町中を散策してはいない。

絹の生産で栄えた秩父地方。
明治中期に起こった秩父事件。
昭和30年代に活躍したお相撲さんの若秩父。
この土地に関わる知識はそんなものだ。
一度訪れてみたかったこともあり、
夜祭をよいキッカケにして
渡りに舟と団体バスに乗り込んだのだ。

秩父夜祭は例年12月3日に執り行われる。
去年は土曜日に当たり、相当な人出だったと聞く。
今年は日曜の開催、ずっとおとなしいものになろう。
11時に池袋を出たバスは14時過ぎに秩父に到着。
下車後、ただちに同乗の人たちと記念撮影だ。
まだこういう儀式があるのですな。
修学旅行のクラスメートならいざしらず、
知らない人と一緒に写されてもねぇ。

そして約7時間に渡る自由行動。
すでに町には山車が曳き廻されているが、
申し訳程度に見物しただけで
さっそく人ごみの中をほっつき歩き始める。
祭そっちのけで、今夜の夕食の店探しだ。
どこか美味しいものを食べさせる店はないか、
心惹かれる店構えを求めてさまよう。

老舗のそば屋は祭りのために早仕舞いだったり、
開けてはいても、祭り用の特別メニューだけだったり。
気に染む店はなかなか見つからない。
2時間も徘徊しただろうか、
そそられる一画に遭遇した。

戦前の向島や洲崎など旧赤線地帯の
風情を残す小池煙草店に見とれていると、
反対側にこれまた古い「バー・スノッブ」。
そしてそのはす向かいにあったのが「パリー食堂」。
店先で熱々の猪鍋などを売りさばいている。
登録有形文化財のパネルが誇らしげだ。

なんでも昭和2年の開業時には
「カフェ・パリー」なるカフェーだったそうだ。
食堂に商売替えしたのは昭和30年代らしい。
これといってメニューに惹かれるものはない。
おでん・シュウマイ・もつ煮、以上つまみ類は3品。
ソースかつ丼・上かつ丼・カレーライス・ラーメンと
食事ものが4品。当夜はそれだけだった。
それでも、この店に決めた。
決め手はやはり登録有形文化財の肩書きを持つ建物。
今宵は役者(料理)ではなく
舞台(雰囲気)で選んだことになる。

        =つづく=

 
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2006年12月12日(火)

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