「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第120回
芸者遊びは まだ早かった

先週、浅草見番での酒宴について書いた。
そこで、宴の締めの手打ちを
三・三・七拍子(第114回参照)と表現したところ、
見番の向かいで呉服店を営む「いづみや」さんから
下記のごとくのメールを頂戴した。

いつも楽しく拝見させていただいています・・・
三本締めに訂正なすった方が宜しいかと思いますが・・・

              浅草 見番前  いづみや

まさにご指摘の通り。
三・三・三・一を3度繰り返す三本締めが正しい。
三・三・七では応援団の手拍子になってしまい、
浅草花柳界の認識からすれば
無粋なことはなはだしい。
おのれの無知を恥じ入りつつも
ここにあらためて訂正してお詫びいたします。
そして、ご指摘いただいた「いずみや」さんには
心から御礼申し上げます。

慣れない遊びに、ついつい調子にのって
肝心の調子をはずしてしまったとは
まったくもって情けない。
歌舞伎「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」で
初めて花の吉原に上がった野州は佐野のお大尽、
次郎左衛門さながらだ。
もっともお大尽なだけ、あちらのほうが一枚上手か。
これがよい機会と、一から勉強し直さなければ。

後日、粋な計らいで見番に招いてくれた
観音裏のスナック「N」のママにくだんの話をすると
けらけら笑って「いい勉強になったわね」だと。
気を取り直し、「N」でグラスを傾ける。
ここでは通常、麦焼酎のロックか
ブランデーの水割りを飲む。

普段、バーやスナックではつまみ類に
手を染めることはないのだが「N」は特別。
気の利いたものをちょこちょこっと
出してくれるからだ。

たたみいわしに明太子、しらすおろしに焼きたらこ。
小泉・森の深夜の会談で話題になった
「ひからびたチーズ」のミモレットなんぞもスッと出る。
気に入りはパン粉を付けて揚げるポテトフライ。
鋭角にナイフを入れたポテトは
街の精肉店のお惣菜を連想させるもの。
これをウスターソースで食べる。
こうなると欲しくなるのがビールだ。

滅多に口にすることのない果物も
この店だけではいただく。
キーウィーやオレンジはあまり好まぬが、
白桃や梨は大好き。
ネットリ感が嫌いな柿も、ここのはサクサクと
歯切れのいい熊本産の「太秋」。
一度試してごらんなさい。
柿に対するイメージが覆されること請け合いですから。

 
←前回記事へ

2006年12月15日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ