「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第121回
いまだに北区を さまよっている(その1)

新著の取材のため、いまだに北区をさまよっている。
食べもの屋の本を書いていると
どうしても中央区や港区の店舗に集中してしまう。
そもそも都心区と郊外区では
飲食店の絶対数が違うので、これは致し方ないこと。
ただ、今度の本では都内23区のすべての区から
最低でもそれぞれ各1軒は
ピックアップしたいと思っている。

中でも北区には苦労している。
なかなかこれという店が見つからない。
赤羽と十条などはずいぶん歩き回った。
十条にはそれなりの優良店があるのだが、
すでに有名になりすぎていて
「行かなきゃいけない無名店」に
カテゴライズできないのがツラい。

これまた何度も挑み続けた王子に再び挑戦した。
高校時代の友人3人を巻き込んでの飲み歩きだ。
19時にJR王子駅北口の親水公園口で待ち合わせる。
生粋の十条生まれもいれば、
新婚時代の数年を王子の団地で暮らしたヤツもいる。
心強い味方が揃い「頼りにしてまっせ!」と
王子の町にいざ出陣の「レッツゴー四匹」であった。
ちなみに往年のお笑いトリオ(いまだ個々に活躍中)は
「レツゴー三匹」が正しい表記で
それぞれの芸名の苗字をレツゴーとしている。

最初の1軒は親水公園口の目の前の「平澤かまぼこ店」。
間口がヤケに狭い立ち飲みのおでん屋さんだ。
風雨をさえぎるビニールシートが店先に張り出し、
そこでも数人が飲んでいる。
うなぎの寝床のような造作で、カウンターはほぼ満席。
客の間をすり抜けるようにして入店すると、
店のお兄さんから
「4人さんなら奥の座敷へどうぞ!」の声。

奥に進んでブッタマゲた。
座敷とは名ばかりのぎりぎり4人が
辛うじて入れる小上がりは
脱いだ靴を持ち込まねばならず、余計に狭苦しい。
座敷というより座敷牢に近いね。

胡坐(あぐら)もままならず、早めに切り上げることに。
スーパードライの大瓶を4人で3本。
手造りのかまぼこ、豊島は越後屋の豆腐を使った冷奴、
名物のおでんも大根・こんにゃく・ちくわぶなどを
ちょこっとつまみ、長居は無用とお勘定。
「満足できる無名店」の候補として訪れてはみたが、
この店を推奨したら読者から苦情が出るかも。
ただし値段は安い。ビールの大瓶が500円。
奴は100円。かまぼこが250円。
おでんは大根・白滝90円。ちくわぶ・こんにゃく80円。
それにしても、座って飲むより、立ち飲みのほうが
居心地のいい店ってのは生まれて初めての経験。
線路の反対側の北本通りにある2軒目に移動する。

        =つづく=

 
←前回記事へ

2006年12月18日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ