「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第122回
いまだに北区を さまよっている(その2)

座敷牢を抜け出した四匹の侍が
目指したのは「食事処やまに」。
実はこの店、2週前の昼にも訪れている。
前述の新婚時代を王子で過ごした友人曰く
「昼の定食、夜の晩酌、ともに結構」
この甘言にノッてしまった。

昼に食べたのは焼き魚定食。
さんま・さば・えぼ鯛などから、赤魚粕漬けを選ぶ。
味噌汁・たくあんともども、ごはんを軽く1膳。
ごくごく普通の町の定食屋という印象。
これだけでは良し悪しが判らぬ。

この店の強烈なインパクトは、飼っている九官鳥。
ここ数年、あまり見かけなくなった鳥だが
言葉が達者で「コンニチハ!」「九チャ〜ン!」。
初めは子どもがふざけているのかと思った。

さてさて、その夜は九官鳥もおとなしく、
四匹は小上がりに腰を落ち着ける。
再びのビールはキリンのラガー、これも大瓶。
コップ2杯ほどでホッピーの黒に移行。
豊富な品書きから、片っ端に注文してゆく。
活たこ刺し・あさり酒蒸し・ほっけ焼き・
串カツ・鯨立田揚げ。

居酒屋メニューに加え、
中華ものから酢豚を取ってみると
酢がまったく効いていない。
これじゃ酢豚じゃなくて、素豚だよ。
お酢をもらって自ら味付け。
結局「やまに」も採用にいたらず、見送り。
九官鳥だけをネタに原稿は書けんもん。

名誉挽回とばかりに王子の団地の旧住人が
「アサヒの樽生の旨い店に行ってみようぜ!」
すでに信用を失っているが、
ほかに妙案があるわけでもなし、、、向かった。

親水そば、地下1階の居酒屋「盛徳」を上から覗くと
階段の突き当たりに活あじの泳ぐ水槽が見えた。
これはひょっとするかもしれない、期待感がつのる。
確かに生ビールは上々。
この夜、3度目のビールにもかかわらずに。
やりいかと里芋の煮物、いかゲソのわた焼き、
豚もつとニラの玉子とじ、まぐろハラミ照り焼き、
牡蠣のオーブン焼き、自家製ミートローフをお願い。
他店と比べて個性的なラインナップ。

う〜ん、先刻の「やまに」より
レベルが上がったことは疑う余地がない。
王子駅界隈ではそこそこ推奨できる店ではある。
店主が庖丁を握り、お運びは奥さんだろうか。
その接客にも好感が持てた。でもやはりあと一歩だ。

今、北区の地図を眺めている。
明日は田端か、中里か。
それともしばらく放っとくか。

 
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2006年12月19日(火)

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