「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第125回
京都を気ままに 食べ歩く (その2)

勇んで出掛けてきた「京都食べ歩きの旅」も
第一打席は甘いフォークボールに引っかかって
あえなく空振りの三振。さい先悪いや、こりゃ。

小雨のパラツく陰気な日。
神社仏閣に詣でる気力があろうハズもなく、
こんな場合は雨の干渉を受けない
アーケードに逃げ込むのが最良の一手。
となると、足は自然に気に入りスポットに向かう。
そう、京都市民の台所を与る錦小路だ。
一番の見どころは川魚専門店。
築地にはしょっちゅう出入りしているので
何を見ても鮮魚には驚かぬが、川魚は珍しい。

錦小路を西から入って右側の2軒目、
「大安」の店先で足が留まった。
店主が一心不乱に牡蠣を開く店先の左手に
イートイン・コーナーが設けられている。
ちょいとしたオイスター・バーの景色だ。
間食はしない性質(タチ)だが、こういうのはベツ。
気がつけば、カウンターに座っていた。

目の前の品書きには
「かき150円 かます・たちうお300円 
 はまぐり・さざえ・あじ・さば400円 
 ほたて500円 ぶりかま600円」

などなど、並んでいる。
各種お造りやぶり大根なんぞもあった。
はまぐりとあったので、生で食べられるかと
訊ねてみたが、ここでは牡蠣も含めて
すべて焼きもののみの提供とのこと。
ガッカリしつつも、牡蠣と蛤を2個ずつ。
ちなみに牡蠣は鳥羽の浦村産。
蛤は明記されていないが、桑名あたりだろうか。
飲みものは白ワインと迷った末のアサヒ樽生(390円)。
この生ビールの美味かったこと。
ことほどさように、旅空の下での一杯は
筆舌に尽くしがたいものがある。

チェックイン後はルームで一休み。
今夜は北山の寿司割烹「もり川」に
予約を入れてある。
市の中心部から離れた北山の
深泥池(みどろがいけ)のそばと聞いたが、
なんともオドロオドロしい池の名ではないか。
その名の通り、水深より泥の層が深い上に
浮島もあって、薄気味悪さもハンパではない。
お化けも気が向いたら、出てくるそうだ。
しかし、池は見かけによらぬもの。
氷河期からの動植物が生息していて
国の天然記念物にも指定されている。

雨さえやめば、数時間掛けても歩きたいところだが、
初冬の時雨には勝てそうもない。
やむなくタクシーで向かう。
余計なお世話ながら、なんでまたこんな辺鄙な場所にと
いぶかしがるのも無理はないようなところに
灯りがぽつんと点っていた。
有名な「松鮨」で修業をしたという店主は
何を一体、食べさせてくれるのだろうか。

        =つづく=

 
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2006年12月22日(金)

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