「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第126回
京都を気ままに 食べ歩く (その3)

京都のお化けの名所・深泥池にほど近い
寿司割烹「もり川」。
先附けの3品は
数の子・子持ち鮎煮・てっぴ煮凍り。
てっぴというのは鉄皮、いわゆる河豚皮のこと。
河豚の刺身・ちりを、てっさ・てっちりと呼ぶが如し。
ここのは珍しく甘辛醤油味ではなく、ポン酢味。
奇をてらったものの違和感があり、
他店がやらないわけだ。

紅葉おろしとポン酢をぶっかけにした河豚ブツも
素材の持つデリカシーが活かされていない。
つまみで頼んだ赤貝とそのヒモは大ぶりにして大味。
しかも添えてきたのがニセわさび。
ここではにぎりを控えたほうが賢明だ。
そのあとのコッペ蟹(ずわい蟹のメス)は美味しかった。
もっともこれは浜茹でにされたのを捌いただけのこと。

「松鮨」由来の千枚漬けをにぎった川千鳥も
本家に比べると見劣り、味劣りがする。
うずらや鴨のねぎ巻きを焼いてもらって
これは水準に達している。
ビール・焼酎・白ワインの小瓶を含め、
支払いは22000円ほどと高くはないが、満足度は低い。

電車を乗り継ぎ、河原町に戻って祇園へ。
週末の夜のことで、目当てのバーはどこもいっぱい。
仕方なく寺町にとって返し、「サンボア」に入る。
このバーも「松鮨」と同様に
池波正太郎ゆかりの店だ。
池波翁を気取り、ペルノーの水割りを1杯と
仕上げにスーパードライの小瓶を1本。
わりと早めにホテルに戻った。

翌朝はうって変わって、まぶしいくらいの快晴。
ホテルの朝食は取らずに
あらかじめ決めておいた「イノダコーヒ本店」へ。
京都随一のコーヒー店は
コーヒーではなく、コーヒを名乗る。
錦小路をかすめる堺町通を
北上したところにある本店は立派な店構え。
10時を回った頃なのに、早くも順番待ちの客が数名。

ほどなく2階席に案内され、
セットメニューの「京の朝食」とビーフカツサンド、
そしてサッポロ黒ラベルの小瓶をお願いする。
「京の朝食」の内容は、オレンジジュースに
ミルクティー(もちろんコーヒーも可)、
クロワッサンとモーニングプレート。
プレートには、ボンレスハム・スクランブルドエッグ・
野菜類の付け合せがたっぷりと盛られている。
いずれも手抜きが一切なく、秀逸な出来上がりだ。

2切れのベーコンを従えたビーフカツサンドは
肉汁あふれる逸品。和牛の薄切りを幾重にも
重ねて揚げてあり、東京ではこれほどのものに
なかなか出会うことができない。
ガラス越しにテラスの望める1階席に
吹き抜けの2階席はともに快適な居心地。
サービスは上々にしてトイレも清潔、言うことなし。
今回京都に来て初めて「イノダコーヒ」が
「食べる歓び」を味あわせてくれた。あらためて感謝。

          =つづく=

 
←前回記事へ

2006年12月25日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ