「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第127回
京都を気ままに 食べ歩く (その4)

「イノダコーヒ」を知ってしまうと
大手のチェーン店には入る気がしなくなる。
「今日はいい日になりそうだ」
満足感に浸りながら、京都の街をそぞろ歩く。

寺町の「小松屋」で買い求めた麩まんじゅうを
デザート代わりに一つまみ。
甘さを控えたコシ餡を
青海苔香る生麩が優しく包み込んで
口に含んだ途端に、水羊羹と心太(ところてん)を
同時に味わっているような錯覚を覚える。

三条大橋を渡り、祇園を抜けて
八坂神社から知恩院、四条大橋を戻って先斗町。
足はまたまた、錦小路に向かうのであった。

夜は祇園の「あじ花」で。
勘三郎襲名披露で賑わう南座の裏手の
裏路地に数店舗、軒を連ねる中の1軒。
ここを教えてくれたのは
新橋は「京味」の店主・西さん。

もずく酢で始まり、お造りはめじまぐろ。
背身が3切れ、腹身が2切れ、
ほどよい脂のノリの上物だったが、
白身や貝類もほしい。
日曜の夜に客はわれわれ2人だけでは
あまり贅沢も言えないけれど。

骨ごとたたいた鶉しんじょのお椀は見事。
出汁もさることながら、
香り立つ鶉特有の風味が過ぎ去った秋を偲ばせる。
ここでビールから燗酒に切り替えた。
一塩のぐじ(甘鯛)のカブト焼きにも
なみなみと出汁が張られている。
ぐじは上身よりもカブトが好みだ。
店主は真鯛よりも甘鯛を尊重する人で
「京」に入れば「京」に従え、
その思想には共鳴できるものがある。

碁石入れほどもある聖護院かぶのかぶら蒸し、
緑鮮やかな炒り銀杏に、
竹の子と昆布の炊きものと続き、
ここらでちょいと甘いもので舌先を遊ばせるため、
生麩の胡麻味噌田楽をあぶってくれると、これが美味。
餅は概して苦手なのに、生麩には目がない自分が不思議。

穴子昆布巻きの炊いたんと
かぶとその葉の漬物で、炊き立てのごはんを少々。
貸切り状態での長居は店にも迷惑、
早々に切り上げてのお勘定は2人で25000円。
予想をはるかに下回り、
機嫌よく店主と若い衆に見送られ、第二ラウンドへ。

いかにも祇園のお茶屋さんといった風情をみせる
バー「FINLANDIA」に落ち着く。
イメージ通りに涼やかな雰囲気漂うカウンターで
フィンランド産こけもものリキュールの
ラッカをコアントローの代わりに使った
バラライカをハードシェイクでお願いする。
実はこのリキュール、田崎真也さんが優勝したときの
世界ソムリエコンクールの最終ラウンドに登場した
いわく付きのリキュールなのである。

         =つづく=

 
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2006年12月26日(火)

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