「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第129回
京都を気ままに 食べ歩く (その6)

「三條さかい萬」での昼食は不完全燃焼に終わった。
酒も飯もなく味わう刺身の不味さをあらためて知った。
傍らにほうじ茶では、もうどうにもならない。
酒を飲まぬ人は食事が最後に出る和食のコースを
どのように味わうのだろうか。
他人事ながら心配でならない。

この日の15時には京都をあとにする身。
四条河原町に戻って、買い物にいそしむ。
大丸地下入り口の脇に
「イノダコーヒ四条支店」を見とめた。
惹かれるようにサンプルケースの前へ進む。
食事メニューのヴァリエーションが
本店よりもはるかに富んでいる。
オムライス・ハヤシライス・海老ピラフと
本店にはないライスものも充実している。
日替わりメニューに
舌平目のムニエルなんぞも用意されていた。

前日のブランチは本店で取った。
しかしライスものは試していない。
先刻の「さかい萬」では鱧雑炊を完食していないから
休養中のこん平師匠ではないが、
ワタシの胃袋にはまだ、若干の余裕もある。
しかも、あと数時間で京都を離れたら
いつ再訪できるのか、知れたものではない。
以上、三段論法が成り立って
「お一人様、ごあんな〜い!」

熟慮の末に選んだのはカレーピラフ。
こうなると飲みたくなるのがビール。
昨日の朝の1本は美味かったものなぁ。
結局我慢できずに本店と同じサッポロ黒ラベルの小瓶。
本店でも思ったことだが、ビールの値段がずいぶん安い。
小瓶しか置かないものの、これが420円。
コーヒーやジンジャーエールでさえ
500円以上するのにだ。
しかもビールにはミックスナッツまで付いてくる。
ビールの客はお替わりをしたり、
食事を取ったりするからだろうか。

ビールとカレーピラフを注文すると
「ビールはいつ頃お持ちしましょう?」
ウェイター君のひとこと。
これが大事なんですねぇ。
コーヒー・紅茶の後先は訊けても
ビールの出しどきにまで気を使うサービス係は
そうそういるものではない。
やはり老舗の社員教育の賜物だろうか。

リクエスト通りに同時に登場したビールとピラフ。
ふと思ったが、どうせ飲むなら「さかい萬」でも飲めば、
少しはお造りの味わいも違ったものになったかも。
蓋付きの銀食器で現れたカレーピラフの上には
小粒の干しぶどうにパセポン(パセリの微塵切り)が。
一口すくって口に運べば、スパイスは香るものの
肝心の味付けが妙に頼りない。
米粒に混じって小さな肉片が見え隠れしているが、
ほかに見当たるものとてなし。
ここはせめて玉ねぎの甘みくらいは加えてほしいもの。
道理でウスターソースを添えてきたわけだ。

          =つづく=

 
←前回記事へ

2006年12月28日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ