「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第130回
京都を気ままに 食べ歩く (その7)

かくして「イノダコーヒ」は本店にて
ブレッドものをいただくのが一番と確信した次第。
あとは三条店の雰囲気もよろしいらしい。

さてその後は錦小路でお買い物。
仕入れたのは青果の「川政」で
野蒜(のびる)とクレソンと本わさび。
滅多に目にしない野蒜は子どもの頃からの大好物。
そのまま味噌を付けて食べてもよし、
浅く塩漬けにしてまたよし。

川魚の「山本馬場」では
小ぶりの子持ち鮎塩焼きを4尾。
鮎には付き物の蓼酢が添えてある。
続いて鮮魚の「丸弥太」で
釜揚げの白魚とずわい蟹の脚肉。
最後に上方寿司の「美濃政」で鯖のバッテラ。
これだけ揃ったからには
今夜の夕食は珍しくも自宅で、と相成る。
京都の地酒にも食指が動いたが、
これは帰りの荷物になるのであきらめた。

ポリ袋をいくつも提げて寺町通を一気に北上。
目指すは池波翁も愛した
好事福廬で名高い明治37年創業の「村上開新堂」。
もちろんお目当ては
紀州みかん使用のゼリー菓子、その好事福廬だ。
東京にもランチ以外はイチゲンさんお断りの
「村上開新堂」があるが、縁戚筋ながら
まったくの別経営なのだそうだ。
こちら東京店は明治7年創業とのこと。

帰京して調べてみると
どなたかのブログに京都店において
東京店の話題は禁句となっていたが、
知らずに訊ねてみたら、縁戚筋であること、
東京店でも好事福廬を
大晦日に限って販売することを
店主の奥さんが教えてくれた。

京都で調達した食材・惣菜の補完を
東京駅の大丸で済ませ、早々に帰宅。
みなかみ町で買い求めた隼人瓜がいまだ健在なので
みょうがと大葉を刻み、きゅうりもみ風に仕上げる。
手造りはこの1品のみ。
あとは錦小路の戦利品を食卓に並べただけ。

味噌になぞった野蒜は思い出の味。
オリーヴ油とヴィネガーに塩・胡椒と
レモン汁を合わせたドレッシングで和えた
クレソンが爽やかな香気。
生酢に醤油を少し垂らして味わうずわい蟹は
本来この蟹が持ち合わせるべき風味に欠けて残念。
釜揚げ白魚も塩気に乏しく、旨みの凝縮度が足りない。
頭からガブリとやった子持ち鮎は抜群の美味さで
本日の主役にふさわしい逸品。
おろし立ての本わさびをしのばせて
バッテラを頬張れば、〆鯖・白板昆布・酢めしと
協調して舌を歓ばせる。
この一食にて
京都の旅はその終結を迎えたことになる。

          =おわり=

 
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2006年12月29日(金)

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