第131回
去年のマンスリー・チャンピオン
=ディナー篇= (その1)
読者のみなさん、新年おめでとうございます。
年々、新年があまり
おめでたくなくなってまいりまして
お正月を楽しむことが難しくなりました。
振り返ってみると、苦楽の境目は
お年玉をもらう立場から
与える側に逆転したときにあったのでしょうね、きっと。
かく言うものの、この亥年も良い年でありますように。
新年に臨んで今年も
「食べる歓び」を満喫する所存ではいるが、
その前に過ぎ去った2006年を
振り返ることにする。
昨年の1月から12月まで、
その月のベストディナーを選出してみた。
題して「2006年マンスリー・チャンピオン」。
1月某日
畑中(麻布十番)・・・天ぷら
白魚・きす・牡蠣・たらの芽・山うどが秀逸。
中はシットリ、外はカリッのかき揚げ丼は白眉。
本わさびを添えた突き出しの〆鯖もハイレベル。
2月某日
しみづ(新橋)・・・鮨
すみいかのこのわた和えで酒がすすむ。
にぎりは、小肌・春子・煮はま・赤身が当夜の四天王。
おぼろ&わさび巻きは完成度の高い、巻きものの傑作。
3月某日
酒飯庖正(元麻布)・・・和食
名乗る通りに酒と飯の二刀流ながら、酒を楽しんだ。
合いの手には、なまこ・塩海胆・胡麻豆腐がピッタリ。
はまぐり&はまぐり真丈のお椀に瞠目。
4月某日
八ツ花(日本橋)・・・天ぷら
紀州勝浦産本まぐろの赤身&中とろで絶好のスタート。
天ぷらは、あおりいかと穴子が双璧にて、ともにお替わり。
煎茶でいただく天茶(芝海老&小柱かき揚げ)に脱帽。
5月某日
ラビラント(白金)・・・フレンチ
朝採り野菜のブイヨン煮が穏やかな美味しさ。
定番の四万十川産ツガニのビスクも健在だった。
南伊豆の山で撃たれた猪は滋味深いが、哀れを誘う。
6月某日
左々舎(外神田)・・・和食
突き出しの寄せ湯葉・鯛つみれ・ふき煮で幸福の予感。
真鯛の薄造りによって予感は確信に変わり、
八丈島産飛び魚のくさやでは陶酔にまで昇華。
和食系の店がズラリと並んだ。自分でも少々意外。
なんやかや言っても、行き着くところは和食であったか。
年後半の6食はまた明日。
=つづく=
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