「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第136回
「たいめいけん」の立喰いラーメン

コレド日本橋の裏手には
昼どきになると2本の行列ができる。
1本は京都から進出して都内各地に
支店を開いている「ますたにラーメン」。
もう1本は日本の洋食の
草分け的存在の「たいめいけん」。

以前、背脂を浮かせたラーメンが有名な
「ますたに」で大失敗をやらかした。
せっかくの持ち味の背脂を「抜き」で
お願いしてしまったのだ。
結果、味も素っ気もないラーメンとなり、
余計なことはするもんじゃないと
深く反省した次第。

さて、真向かいの「たいめいけん」。
オーソドックスな洋食メニューが人気だが、
あっさりとした中華そば風のラーメンにも
根強いファンがいる。
右脇の路地にはラーメンスタンドを構えていて
終日、立喰いラーメンが味わえる。

とある昼下がり、久々にその引き戸を引いた。
いつの間にか、サービス品のコールスロー(50円)を
スタンドでも提供しており、
1人の先客などはダブルで注文していて
なかなかの強心臓の持ち主とお見受けした。
こちらも負けじと「取り合えずコールスロー」と
やってはみたものの、頼んだのはもちろん1つ。

ほどなく登場したラーメン(650円)は
以前とは少なからず趣きの異なるルックス。
表面に油の膜ができており、
前にはなかった焼き海苔が1枚。
紅麹の縁取りのチャーシューも心なしか
一回り大きくなったような気がする。
シナチクは風味が乏しい上に
甘みの勝ったコシのないもの。
こればかりは相変わらずの不出来だ。

中細ほぼ真っ直ぐの麺も変わったたようだ。
いわゆる多加水麺で、粉々感を感じさせない。
野菜の甘みが出たスープは薄味仕上げ。
化調はほとんど使っていないのではないか。
けっして嫌いなタイプではないのだが、
一昔前はもっと美味しかったと記憶している。

目の前オープンキッチンは中が丸見え。
オペラやコンサートで、2階の端っこに座ると
オケピが手に取るように見えるものだが、同じ感覚。
何やらキッチンが騒々しく、どうやら
ウェイトレスの配膳ミスがあったらしい。
シェフらしき料理人が声を荒げているものの
努めて自制しているように受け取れる。

締めて700円を支払い、コップの冷水を飲み干して
外に出ると、いきなり道路の出っ張りに蹴つまずいた。
靴先の汚れが気になり、高島屋の車寄せに直行。
目指すはここにいる靴磨きのオバちゃん。
茅場町で10年、この場所で23年の大ベテランだ。
最近の磨き屋さん事情などを興味深く聞いてる間に
愛靴は早くもピッカピカ。心晴れやかに歩き出す。
街のサンドイッチマンではないが、
トボケ笑顔で今日もゆく、というところか。

 
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2007年1月8日(月)

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