「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第143回
ハープのあとのクリスマス・ディナー (その2)

総州古白鶏のバロティーヌの持ち味を堪能した。
総州というのは上総の国と下総の国の総称。
茨城県南部から千葉県北部の地域一体を指す。
まだ馴染みの薄い銘柄鶏だが
すぐそばの奥久慈しゃもの
よきライバルになるのではなかろうか。

お次は魚料理。
メニューには築地からの鮮魚の
スープ・ド・ポワソン仕立てとあった。
印刷の時点では魚河岸でどんなサカナに遭遇するのか
判明していなかったことの表われだろう。
実際に食卓に上ったのはホウボウであった。
皮目をキッチリと香ばしくポワレしてある。
スープ・ド・ポワソンを煮詰めたソースは
甲殻類がかなり主張するもので
ソース・アルモリケンヌに酷似している。
クラシックなタイプはそれほど海老類の
風味が際立っていないが、最近の風潮かもしれない。

ここでお口直しに
シャンパーニュと紅玉のグラニテが供される。
サッパリと薄味に仕上げてあるのは
脇役たるものが我を張るのは好ましくないからだ。

そして本日の主菜の蝦夷鹿。
ロースト(ロティ)と赤ワイン煮(シヴェ)の
盛り合わせは、おそらく鞍下肉ともも肉の使い分け。
これは鞍下肉のロティに軍配が挙がった。
脂身のほとんどないシェヴルイユ(鹿肉)は
もともとシヴェにはあまり向かないのではないか。
テクスチャーが緊密にすぎるため、
パサパサ感ほどではないにせよ、
粉々感が口中に拡がってしまう。
脂はなくとも野うさぎのように
個性的な素材ならば、またハナシはベツになる。

サーブされる赤ワインは
ボーヌ・プルミエ・クリュのクロ・デュ・ロワ‘00年。
ジビエにはやはり、ボルドーよりもブルゴーニュだ。
こういうワインを口に含むと、突然鹿がよみがえる。
余計なお世話ながら、劇的な変貌を実感できない
下戸の方は本当に不幸だと思う。

普段はパスするデセールに手を出してしまうのも
クリスマス気分の成せるワザ。
ショコラのスフレとピスタチオのグラッス(氷菓)を。
シェフの意図するところは
熱々のスフレと冷え冷えのグラッスの
ミスマッチを同時に味わってもらおうということ。
しばらくはその目論見通りに
交互にスプーンを運んでいたが、
後半はグラッスをスフレに落とし、
溶かしながら混ぜていただいた。
最後にブラックコーヒーを1杯。

二次会は本日の主役のハーピストともども
中学の同期生が男女3人ずつの計6人でカラオケ。
いしだあゆみ・小川知子・伊東ゆかり・由紀さおり。
加山雄三・ブルーコメッツ・シューベルツ。
まったく歳が判るね。でも若者だけじゃなく、
クリスマスはオジさん・オバさんも元気なんですよ。

 
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2007年1月17日(水)

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